著者
伊藤 真二 山口 仁志 小林 剛 長谷川 良佑
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.529-536, 1996-06-05
参考文献数
12
被引用文献数
14 10

グロー放電質量分析法(GD-MS)により,ニッケル基耐熱合金中の合金元素(Al, Si, Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Cu, Y, Nb, Mo, Ta及びW)並びに微量元素(B, C, Mg, P, S, Zn, Ga, As, Zr,Cd, Sn, Sb, Te, Pb及びBi)の定量法を検討した.スペクトル干渉などについて詳細に調べた結果, Se, Agを除いてその影響がないことを確認した.JAERI CRM, NIST SRM, Bs CRMs, BCS CRMs及び自家製Ni合金標準試料の16種を測定し,表示値とGD-MS測定値から得られた相対感度係数(RSF)を評価した.RSF値による補正を行ったGD-MS定量値の正確さ(σ<SUB>d</SUB>)をファンダメンタル・パラメータ法-蛍光X線分析法(FP-XRF)による値と比較した結果, Cr, Feではやや劣るものの,そのほかの合金元素はFP-XRFによる定量値の正確さとほぼ同等であった.繰り返し分析精度は, P, Sを除いて相対標準偏差(RSD)で2.5%以内と良好な値であった.実用ODS合金MA 6000の合金成分の定量値は,FP-XRF定量値とよく一致した.又,有害微量不純物元素などの定量結果は,黒鉛炉原子吸光法による値あるいは化学分析値と一致し,本法がNi基耐熱合金の合金成分から微量成分元素定量に適用できることを確認した.
著者
山口 仁志 伊藤 真二 五十嵐 淑郎 小林 剛
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.653-656, 2002-08-05

高純度銅中の微量ケイ素定量はJIS法では対応できない.また,二酸化ケイ素の状態で含まれるケイ素についても対象外である.そこで二酸化ケイ素を含む全ケイ素の定量にフッ化物分離法の適応を検討した.二酸化ケイ素を分解して四フッ化ケイ素を生成するのに必要なフッ化水素酸量等,最適条件について詳細に検討を行った.その結果,二酸化ケイ素の状態を含むサブ ppm のケイ素定量が可能となった.また,試料量 0.5g のときの検出限界は 0.1ppm であった.
著者
原田 幸明 芳須 弘 山口 仁志 井島 清 井出 邦和 片桐 望
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

地球環境問題に対応するサスティナブルな物質・材料の設計・選択・評価に資するための、物質・材料のマテリアル・リスク指標を、"持続的供給リスク"、"環境変動リスク"、および"毒性リスク"としてとらえ、それぞれに対する指標を数値化した。この数値化において、元素ごとに共通の手法を用いることで横断的な比較を可能とし、材料や部材の設計に用いることができるようにした。さらに、これらの指標の適用方法を"持続的供給リスク"を表す関与物質総量を中心に例示した。とくに、リサイクルの適用に関して実際のリサイクル技術の開発と合わせて都市鉱石化の評価に関与物質総量を用いるという新しい適用方法も明らかにした。