著者
滑川 亘希
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

本研究では、災害時などライフラインが寸断された緊急時においても、透析患者の応急処置が可能な尿毒素除去フィルターの開発を目的として、尿毒素を吸着するゼオライトを導入したスマートナノファイバーコンポジットを作製した。ファイバーのベースとなる高分子には血液適合性に優れる高分子(EVOH)を用い、電界紡糸法で製膜した。作製したファイバー内には製膜時に配合したゼオライトの90%以上が導入できた。尿毒素の一つであるクレアチニンを馬血清から除去することに成功した。このようなコンポジット材料は、血液浄化材料のほか、配合する吸着粒子を変えることで様々な分子を吸着する不織布として応用できる。
著者
田中 博美
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

良質な界面を有する強磁性体/高温超伝導体の接合作製についての基礎技術開発を行った。具体的にはLa_<0.85>Ba_<0.15>MnO_3/YBa_2Cu_3O_y接合をパルスレーザー堆積法により作製し、得られた接合の界面ナノ領域における化学結合・電子状態を明らかにする為、硬X線励起光電子分光を用いたdepthプロファイルを行った。その結果、YBa_2Cu_3O_yにおいて観測されるCu-2p内殻光電子スペクトルのサテライト強度が接合界面近傍において著しく減少していることが分かった。又、一方でLa_<0.良質な界面を有する強磁性体/高温超伝導体の接合作製についての基礎技術開発を行った。具体的にはLa_<0.85>Ba_<0.15>MnO_3の構成元素であるMn及びBaの内殻光電子スペクトルも接合界面近傍においてケミカルシフトを起こし、それに伴いブロードニングが生じていることが分かった。これは接合界面近傍において異なる価数状態が混在し、キャリア状態が変化していることを示唆する。詳細な解析の結果、La_<0.85>Ba_<0.15>MnO_3/YBa_2Cu_3O_yの接合界面にはCuの価数が大きく低下した非超伝導層、及びスピン偏極率が低下している強磁性体層が存在していることが明らかとなった。この結果から、非超伝導層や低スピン偏極率層が接合界面に存在しない良質な接合を作製する為には、成膜時の作製条件等を工夫する必要があることが分かった。
著者
花方 信孝
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

花粉症をはじめとするアレルギー疾患の治療薬として期待されるCpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)のデリバリーシステムを構築した。平均直径3.4 nmのシリコンナノ粒子(Si NPs)を合成し、表面をアリルアミンで修飾した後にCpG ODNを静電的に結合させた場合と、Si NPsの表面をマレイミドで修飾し、CpG ODNの一端のみを結合させた場合では、異なる免疫活性化サイトカインが誘導された。これら結合方法の異なるCpG ODNをSi NPsでデリバリーすることによって、より高い免疫活性を誘導できることを見出した。
著者
不動寺 浩 澤田 勉 古海 誓一 田中 義和 百武 壮 KOHOUTEK Tomas BARDOSOVA Maria BRUSH Lucien ERDAL Serap
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

著者らは高品質オパール結晶薄膜のコーティングを開発しその潜在的な工学的応用について研究した。前者については結晶成長制御により均一で均質な高品質オパール結晶薄膜の成膜プロセスを開発し、300 c㎡の大面積コーティングに成功した。一方、後者については(1)金属の塑性変形の可視化:金属片の塑性変形を構造色の変化として視認と歪み量計測に応用できること実証、(2)インバースオパール構造によるカルコゲナイトガラス(高屈折物質)によるワイドフォトニックバンドギャップの1次元フォトニック結晶への応用、(3)環境センシングの可能性:水中に微量存在するキシレン(0.18mg/mlオーダー)の検出が確認できた。
著者
松本 明善
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

二ホウ化マグネシウム(MgB_2)は金属系超伝導体として高い超伝導転移温度や上部臨界磁界等のポテンシャルを有しているにもかかわらず、十分な臨界電流密度(J_c)特性が得られていなことについて粒間における電流経路有効断面積(コネクティビティ)を含めた観点から研究を行ってきた。MgB_2超伝導線材において高いJ_c特性を得るためには、線材内部にある空隙を極力少なくすることが重要である。このために我々は不純物添加等を行ってきた。不純物の中には芳香族化合物などのように、結晶粒界の結合性を改善し、コネクティビティーを向上させ、J_c特性を向上させるものが存在することがこれまでの研究でわかった。
著者
足立 吉隆 森戸 茂一 佐藤 尚
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

マルテンサイトパケットは互いに複雑に入り組んでいること、その界面は特定の晶癖面を持っていること、またブロックも入り組んだ構造を持っていることが明らかとなった。すべてのブロックは旧オーステナイト粒界に接していた。さらに、三次元像の定量化を位相幾何学および微分幾何学の観点から行うに当たって、種数、オイラー評数、ガウス曲率、平均曲率といったパラメータを導入して、形態の定量化への可能性を検証した。その結果、これらのパラメータを使うことによって、複雑な実際の金属組織形態の定量化が可能であることを示し、今後の新しい3D定量材料組織学構築への布石となるものと期待される。
著者
西村 睦 古牧 政雄
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

重水素透過誘起元素生成反応で用いられてきた複合膜の重水素透過特性を明らかにした。ガス透過法で、圧力が高いほど生成物の収率が向上することを明らかにした。電気化学的に重水素透過した試料をSIMSおよびICP-MS法で分析し、133Csから質量数139,140,141,142の物質への変換を示唆する結果が得られた。またWをイオン注入した複合膜においては、質量数190の物質への変換を示唆する結果が得られた。
著者
宮崎 英樹 笠谷 岳士
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

過去のものとなったテレビジョン撮像管技術を現代のナノ材料・ナノ計測技術で蘇らせ、表面近傍の光学像を分解能62nm、無染色で撮像する電子走査型超解像光学顕微鏡を開発した。光電子放出に伴う蓄積帯電電荷を読み出すアイコノスコープ方式と、蛍光点を走査して試料を照明するフライングスポットスキャナ方式の構築を目指した。前者については研究期間内に完成形を示すことはできなかったが、後者は市販の走査電子顕微鏡に組み込めるユニットの開発まで成功した。生きた細胞の観察を可能とする環境セルを開発し、位相物体が無染色で撮像できる原理がパーセル効果に由来することを明らかにし、実際に生きたままのヒト肺細胞の観察に成功した。
著者
杉安 和憲
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

ポリチオフェンは最もよく研究されてきた導電性高分子のひとつである。応用範囲が広い材料であるからこそ、その基礎的な知見を得ることは極めて重要であり、実験および理論の両面から様々な議論が行われている。本研究では、特殊構造ポリチオフェンを用いて、ポリチオフェンの電気伝導メカニズムに関する新しい知見を得ることに成功した。
著者
CUSTANCE Oscar
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

走査型熱顕微鏡(SThM)は、熱カンチレバーをプローブとした原子間力顕微鏡(AFM)の一種である。カンチレバーで発生した熱は、ナノスケールでの表面及び熱抵抗を観測、ならびに半導体基板のパターニングとデバイスファブリケーションのプロトタイプのための数ナノメートルハーフピッチのマスクの製造に使用することができる。このプロジェクトの主な目標であった「ミリピードプロジェクト」用にIBMが開発した加熱カンチレバープローブ技術を我々の専門と組み合わせ、SThMの分解能の限界をプッシュする原子分解能AFMを開発することに成功した。
著者
HILL P.Jonathan (2012) JONATHAN P.HILL (2011) JONATHAN P. (2010) SANCHEZ Ballester SANCHEZ BALLESTE M.N.SANCHEZ Ballester
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

無機物質と有機物質の両方の特性を兼ね備えかつナノメートルレベルの構造特性を持つ物質の合成は、様々な機能材料の開発にとって重要である。本研究では、マンガンと鉄を含む配位型の有機・無機ハイブリッドを新たに合成開発した。配位高分子(Coordination Polymer)としてはこれまでに報告のない種類のものであること、遷移金属の酸化物が組み込まれた新しいタイプのハイブリッドであること、二量体と三量体のマンガンクラスターの中間的な状態を持つ大変希少な形態であることなどが、結果としてわかった。これらの化合物合成は、物質科学上の研究ということだけではなく、生体内の金属クラスターの模倣という点からも進められている。本研究の成果は、いくつかの論文上で発表したが、特にDalton Transaction誌においてその詳細を報告した。また、いくつかの金属酸化物のナノ構造体の合成を室温条件下で行ったところ、そのうちに非常に比表面積地の高いものが得られた。この物質の特性をさらに検討するため、スーパーキャパシターやORR電気触媒反応の検討も行った。さらに、新規なキレート型ナノ粒子の合成と太陽光変更素子への応用も手がけた。後者の二つの研究テーマを次のポジションでも継続的に進める予定である。
著者
有賀 克彦 MANDAL Saikat SAIKAT Mandal
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

本申請研究では、材料化学、超分子化学、界面科学の技術を駆使して、(Pt/Pd)材料を中心とした様々なナノ構造(ロッド、ワイア、多孔構造など)の開発を行う。特に、界面活性剤などのミセルやエマルジョンなどの構造を鋳型とし、白金やパラジウムなどの金属イオンの配位と還元、有機物の除去という過程を経ることにより、ナノロッド構造、ナノワイア、多孔性構造を構築する方法論を確立・実証することを目標とする。また、これらの構造を有機分子やバイオ素材に逆転写するというこれまでにはない研究テーマにも取り組んだ。例えば、イオン性界面活性剤であるCTABやSDSの棒状ミセルとH2PtC16が共存する条件化で還元反応を行い、白金のナノ粒子やナノロッド構造を得る手法を検討した。その結果、高表面積のフラワー状構造やオープンマウスカプセルなど、セレディピティー的な結果を得た。その一方で、不斉アミノ酸を含む界面活性剤共存下での金粒子作成などのチャレンジングなテーマについても検討を重ね、室温下で金粒子が融合し、一次元のナノ粒子がネットワーク上の二次元構造に転位するという今までにない知見が見出され、Gold Cold Fusionという新しい概念を論文発表するに至った。
著者
佐久間 芳樹 池沢 道男 斎木 敏治
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

発光波長や強度などの特性が揃った単一光子源への応用を目指し、III-V族半導体中の等電子不純物による局在準位の制御と利用に関する研究を行った。具体的には、ガリウム砒素中の窒素不純物の最適なドーピング手法を調べ、エネルギーの揃った単一光子発生を世界で初めて実証するとともに、発光寿命や偏光などの特性について明らかにした。本研究によって多くの基礎データが取得でき、今後の技術開発に不可欠な有益な知見が得られた。
著者
落合 哲行
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

電子系における量子ホール系やトポロジカル絶縁体における特異な輸送特性を光の系に移植し,これまでにない光輸送特性を実現するのが本研究の目的である。そのため、磁気光学効果や電気磁気光学効果をもつ物質からなるフォトニック結晶をターゲットとし、電磁場の第一原理計算などにより、系のもつトポロジカルな構造を明らかにした。その結果、様々な特性をもった、光カイラルエッジ状態や光ヘリカルエッジ状態を理論的に実現した。また、なぜそのような結果が得られるのかを系のもつ対称性や自由度の解析と、有効ハミルトニアンを用いて明らかにした。
著者
館山 佳尚 袖山 慶太郎 隅田 真人
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究課題は触媒・電池系の重要基本過程であるドナー-アクセプター間電子移動過程の電子・原子スケールでの定量的解析を実現するために、始状態と終状態を区別可能な「拘束スキーム」を導入したDFT計算手法の開発・確立に取り組み、さらに触媒・電池系内の固液界面の電解質ー吸着子ー基板系への適用を実行しました。本研究で開発された計算手法により界面電子移動過程に関する微視的理論が大きく進歩し、また触媒・電池系内の化学反応の微視的描像が確立し、高効率化に向けた指針がより明確になることが期待されます。
著者
介川 裕章
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

半導体Siへの高効率スピン注入を実現するためには,高スピン分極材料の利用が有効である。本研究ではCo_2FeAl_<0.5>Si_<0.5>(CFAS)ホイスラー合金薄膜に注目して,その作製方法を検討した。その結果,CFAS層を含む積層膜の伝導特性の解析により,作製したCFAS薄膜は実際に非常に高いスピン分極率を有することが示された。また,同時に,CFASと格子整合がよいMgAl_2O_4極薄膜が作製可能であることも明らかにした。MgAl_2O_4はバリア層として高い特性を示し,Si上への作製技術が確立できればスピン注入に利用できると考えられる。
著者
早川 竜馬
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、機能性有機分子を量子ドットに用いた多機能単一電子メモリを開発することを目的としている。有機分子へ注入する単一電子トンネル電流を分子軌道によって制御することにより従来の無機材料量子ドットでは実現できない新しい機能を発現できる。初めに有機分子をゲート絶縁膜中に集積化する技術を確立し、分子へ注入するトンネル電流を分子軌道によって制御できることを明らかにした。上記の知見を基に異種分子によるトンネル電流の多値制御および光異性化分子による可逆的なトンネル電流の光制御に成功し、従来の無機材料では実現できない新規機能を発現できることを見出した。
著者
羽多野 毅 王 華兵
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

高温超伝導体は層状の結晶構造そのものが超伝導性と絶縁性を示すことから、ジョセフソン素子としてどうさすることが知られ、固有ジョセフソン接合と呼ばれている。固有ジョセフソン接合Y-123系における磁束量子の層平行磁束と層に垂直の磁束との二状態間を、電流によりスイッチングさせることに成功した。磁束状態は温度を保持している限り電流を切っても不揮発性で記憶されていることを見いだした。また、その繰り返し読み出し・繰り返し書き込み消去動作を確認した。
著者
シンディ バイシャリ
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

酸化亜鉛(ZnO)と酸化チタン(TiO_2)のコアシェル(core shell)構造を利用した高効率色素増感太陽電池(DSSC)の作製を目指して研究を行った。コアシェル構造は、ディップコーティングで形成したTiO_2膜とZnOナノロッド(NR)、スクリーン印刷で形成したTiO_2粒子とZnO NR,そして数10nm長のZnO NRとTiO_2粒子の混合物からなる3種類である。これらの構造を用いて色素増感太陽電池を作製し、その性能を調べた。