- 著者
-
山田 誠二
山口 智浩
- 出版者
- 日本知能情報ファジィ学会
- 雑誌
- 知能と情報 (ISSN:13477986)
- 巻号頁・発行日
- vol.17, no.3, pp.289-297, 2005
- 参考文献数
- 16
- 被引用文献数
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擬人化エージェントと人間との間に効果的なコミュニケーションを実現するためには, 双方が相手の表情から相手の感情, 負荷状態などの内部状態(マインド)を同定し, 相手のマインドに沿った行動をとることが重要である.しかし, 人間と擬人化エージェントが互いに相手の表情からマインドを同定することは, 一般に困難である.なぜならユーザはエージェントの表情の解釈において, 個人差, 文化的差異などをもつため, すべてのユーザにとってマインドを容易に推定できる表情をもったエージェントを設計することは難しいからである.本論文では, 人間と擬人化エージェントがマインドマッピングをお互いに学習して相互適応を実現する枠組みを提案する.マインドマッピングとは, 人間や擬人化エージェントの表情からマインドへの写像である.人間とエージェントは, 相互読心ゲームと呼ばれるゲームを行うことにより, 相手のマインドマッピングを学習していき, 相互適応が実現される.この相互適応において, エージェントは, 観測された人間の顔画像を事例とした事例に基づく学習により, マインドマッピングを学習し人間に適応する.一方, 人間側は自由に学習をしてエージェントに適応する.PCとCCDカメラを用いてこの枠組みを実装し, 我々の枠組みで実際にマインドマッピングの相互適応が実現されることを実験的に示す.また, マインドマッピングの相互適応を高速化するヒューリスティックスを提案する.