著者
大中 臨 赤松 良久 河野 誉仁 山口 皓平
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.260-269, 2019 (Released:2019-12-20)
参考文献数
16

平成30年7月豪雨において山口県の島田川水系東川が流れる岩国市獺越地区では土石流と河川氾濫が発生した.本研究では,獺越地区を対象に被災直後から踏査による被災状況の記録とUAVを用いた現地調査を行った.また,災害時のオルソ画像を作成し,獺越地区の土石流解析,流出解析および洪水氾濫解析を行った.その結果,獺越地区の河川氾濫は土石流によって運ばれた土砂・流木が河川に流入したことによる河床の著しい上昇と,橋脚に流木が挟まったことによる流水の阻害によって引き起こされたことが明らかとなった.また,土石流の発生が無ければ河川氾濫は発生しなかった可能性が極めて高く,土石流が直接河川に流入することが想定される河川区間では大量の土砂・流木が流入することを想定した河川管理が必要であることが示唆された.
著者
小室 隆 赤松 良久 山口 皓平 プトゥ エディ ヤスティカ 清水 則一 二瓶 泰雄
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.271-287, 2019 (Released:2019-07-03)
参考文献数
29
被引用文献数
2

平成29年7月5日に発生した九州北部豪雨により,福岡県朝倉市に点在する溜池では決壊や一部決壊が生じた.それらの溜池を対象に災害後に国土地理院によって撮影された空中写真から15箇所の溜池を選び,現地調査を行った.また陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)に搭載されているLバンド合成開口レーダ(PALSAR-2)により観測された災害前後の地表面データを用いて,土砂堆積などにより地表面に変化が生じた溜池の抽出を行った.調査対象とした溜池のうち,5ヶ所の溜池で決壊・一部決壊を確認した.決壊・一部決壊が生じていた溜池以外では,決壊までは到達していないものの,溜池上流部において土砂の流入・堆積を確認した.PALSAR-2によって得られた地表面データを解析したところ,5,000 m2以上の面積の大きい溜池では土砂や流木の堆積による変化を捉えることが出来た.一方,山間地域に築造された小さな溜池では,周囲の斜面勾配による画像の歪みの影響により,必ずしも明確に抽出することができないことが明らかとなった.