著者
山崎 雅英 朝倉 英策 尾崎 由基男
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.12, pp.2974-2982, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
10
被引用文献数
1

凝固・線溶系血液検査は出血性素因・周術期止血管理とともに,日本人の死因の1/3を占める血栓症の早期発見・治療において重要である,凝固時間の延長が見られる場合には,クロスミキシング試験をおこない,凝固因子欠乏と循環抗凝血素の鑑別を行う.凝固・線溶活性化の最も簡便な指標はFDP,D-ダイマーであり,これらが異常高値を示した場合にはTAT,PICなどの分子マーカーを測定することにより病態解析が可能である.血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の診断にはADAMTS-13活性測定が有用である.
著者
山崎 雅英
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.357-364, 2005 (Released:2005-12-31)
参考文献数
11
被引用文献数
7 5 2

反復性血栓症と不育症を特徴とする自己免疫性血栓性疾患である抗リン脂質抗体症候群の中に,微小血栓により短期間に多臓器不全をきたす予後不良の一群があり近年注目されている.このような疾患群を「劇症型抗リン脂質抗体症候群(CAPS)」という.CAPSは感染症や抗血栓療法の変更,手術(抜歯などの小手術を含む)を契機に,SLEや原発性抗リン脂質抗体症候群症例に多く発症し,脳血管系・呼吸器系・腎臓・皮膚などのほか,全身のすべての臓器に微小血栓をきたす.確立した治療法は無いが,強力な抗凝固療法と大量ステロイド療法がおこなわれるほか,血漿交換も併用されることが多い.我々の経験では,抗リン脂質抗体や抗二重鎖DNA抗体(抗ds-DNA抗体),補体などを選択的に吸着する血漿吸着療法を血漿交換の代わりに用いることにより良好な成績が得られている.血漿吸着療法は血漿交換と比較して新鮮凍結血漿などの血液製剤の補充が不要であり,輸血関連合併症もないことからCAPSを含む抗リン脂質抗体症候群に対し考慮すべき治療法の1つと考えられる.