著者
寺田 久屋 山本 勝彦
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.189-195, 1992-04-05 (Released:2010-03-01)
参考文献数
10
被引用文献数
3 3

1. 市内のデパートの健康食品コーナーなどで購入した58製品の梅加工食品についてAM, PR, 遊離シアンをそれぞれ定量し総シアン量を求めるとともにAM, PRの分解生成物であるBA及びBAL量を測定した.2. AMは, 梅肉エキス及び梅肉エキスを用いた菓子類に100μg/g (HCN換算5.9μg/g) 以上残留する製品が多く認められた.3. PRは, AM含有量の高い梅肉エキス類のほか, 梅干し及び梅干し加工品類, 梅シソ加工品類から比較的高濃度な製品が認められた. 一般にAMに比較して広範囲な製品から検出された.4. 遊離シアンは, 梅漬け類及び梅干し類に10μg/g近い濃度の製品が認められたが, 加熱処理を伴う梅肉エキス及び乾燥梅製品などでは低濃度であった.5. 総シアンは, AM及びPRの高い梅肉エキス類, 遊離シアンの高い梅漬け類及び梅干し類から平均5μg/g以上認められた. 最高濃度は梅肉エキスで112.9μg/gであり, 1回の摂取量から考えて健康的には問題ない量と思われる.6. BALは, 梅干し類, 梅漬け類に比較的高い濃度の製品が認められたが, 加熱処理を行った梅肉エキス及び乾燥梅製品では, ほとんど検出されなかった.7. BAは, BALとは反対に加熱処理を行った梅肉エキス及び乾燥梅製品において高い値を示した.
著者
山本 勝彦 三沢 真一 肥塚 和彦 三村 良平
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.195-203, 2000-07-31
参考文献数
23
被引用文献数
2

本実験は, RDFの利用用途の開発を目的として, 木材や石炭の燃料精製に適用されている炭化工程により, 家庭系可燃ごみから製造されたRDFを炭化物とした。この結果, 炭化物の容積は, ごみ段階から1/10~1/8に減少し, 重量ではごみ段階の1/8~1/6に減少した。また, RDFからは容積, 重量ともに約1/3に低下した。もう1つの炭化処理の効果として, RDFに含まれる塩素が熱分解により塩化水素として分離され, RDFの塩素含有量が61%削減された。炭化物には植物が必要な微量成分が含まれており, 有害物質の含有量も溶出量も少ないことから, 土壌改良材として使用できることが明らかとなった。<BR>炭化物の塩素含有量を削減するため, 粉砕した炭化物を水洗し, 温水 (80℃) と水蒸気 (115℃) で洗浄することにより, RDF中の塩素含有量は最終的に90%以上が除去された。この実験から, 以下の3点がRDFを炭化処理する利点として得られた。第1には, 広域化処理を念頭に置いた場合, 炭化物はごみ輸送あるいはRDF輸送から炭化物輸送に転換することにより輸送効率を改善できることであり, 第2はRDFより塩素含有量の少ない燃料として利用できることさらに, 第3は炭化物は土壌改良材に利用できること, である。
著者
川本 雄大 田内 萌絵 山地 一代 中坪 良平 板野 泰之 山本 勝彦 和田 匡司 林 美鶴
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.35-42, 2021-02-07 (Released:2021-02-05)
参考文献数
13

瀬戸内海周辺地域は全国的に見て相対的に大気汚染物質濃度が高い状態にあり、この原因の一つが、船舶由来の排気ガスとの指摘がある。本研究では、瀬戸内海海上と周辺陸上局にてそれぞれ測定された大気中のSO2、NOx、PM2.5の時空間変動の特徴とその要因を考察した。垂水局と兵庫南部局にてConditional Bivariate Probability Function解析等を行った結果、SO2濃度は海風の進入とともに上昇し、高濃度時には船舶の往来が集中する明石海峡方向からの大気の流入が確認できた。これは、二山型の日内変動を示すNOxとは異なる傾向となった。PM2.5は、春から秋にかけて日中の濃度上昇が確認できたが、SO2やNOxと比較して日内変動幅は小さく、広域的な汚染であることが示唆された。海上のSO2濃度は、最大で陸上局濃度の約5倍となり、他方、NOxは陸上局と同程度あるいは低濃度、PM2.5は陸上局とほぼ同程度であった。大阪湾・播磨灘および周辺沿岸地域において、SO2とNOxの主要な発生源は、それぞれ海上と陸上に存在する可能性が示された。
著者
山本 勝彦 三沢 真一 肥塚 和彦 三村 良平
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.195-203, 2000-07-31 (Released:2010-05-31)
参考文献数
23
被引用文献数
2

本実験は, RDFの利用用途の開発を目的として, 木材や石炭の燃料精製に適用されている炭化工程により, 家庭系可燃ごみから製造されたRDFを炭化物とした。この結果, 炭化物の容積は, ごみ段階から1/10~1/8に減少し, 重量ではごみ段階の1/8~1/6に減少した。また, RDFからは容積, 重量ともに約1/3に低下した。もう1つの炭化処理の効果として, RDFに含まれる塩素が熱分解により塩化水素として分離され, RDFの塩素含有量が61%削減された。炭化物には植物が必要な微量成分が含まれており, 有害物質の含有量も溶出量も少ないことから, 土壌改良材として使用できることが明らかとなった。炭化物の塩素含有量を削減するため, 粉砕した炭化物を水洗し, 温水 (80℃) と水蒸気 (115℃) で洗浄することにより, RDF中の塩素含有量は最終的に90%以上が除去された。この実験から, 以下の3点がRDFを炭化処理する利点として得られた。第1には, 広域化処理を念頭に置いた場合, 炭化物はごみ輸送あるいはRDF輸送から炭化物輸送に転換することにより輸送効率を改善できることであり, 第2はRDFより塩素含有量の少ない燃料として利用できることさらに, 第3は炭化物は土壌改良材に利用できること, である。
著者
坪内 春夫 中島 正博 山本 勝彦 宮部 正樹
出版者
Japanese Society of Mycotoxicology
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.36, pp.45-48, 1992
被引用文献数
2

The effects of the elimination of fungi and mycotoxins in imported green coffee beans were examined. Each sample was divided into 3 types (22 samples each) ; 1) green coffee beans before handpicking, 2) good beans after handpicking, 3) bad beans after handpicking. All the samples were tested for both fungi and contaminations of ochratoxin-A (OCT-A). OCT-A was detected in 11 out of 22 bad samples (50%, x=6.14 ppb, range 0.08-72.7 ppb), in 7 out of 22 good samples (32%, x=0.49 ppb, range 0.08-7.67 ppb), and in 9 out of 22 samples before handpicking (41%, . x=0.79 ppb, range 0.16-7.20 ppb), respectively. Levels of OCT-A and numbers of fungi in green coffee beans were decreased by the handpicking method.
著者
寺田 久屋 鈴木 晃世 田中 治夫 山本 勝彦
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.347-354_1, 1992-08-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
12
被引用文献数
6 6 7

セミミクロHPLCを用いカテキン5種類 (エピガロカテキン, エピガロカテキンガレート, エピカテキン, エピカテキンガレート, カテキン) とメチルキサンチン3種類 (テオフィリン, テオブロミン, カフェイン) の同時定量法を検討した. 試料からの抽出溶媒として40%エタノールを用い, 精製に Sep pak C18を利用し, HPLCには内径2.1mmの Inertsil ODS-2カラムを使い, 検出はUV 207nmで行った. 茶浸出液, 抹茶アイスクリーム, 抹茶煎餅, 抹茶ゼリー及びウーロン茶抽出物入りキャンディーについて行った添加回収実験の結果, カテキン類では, 回収率が83.2~120.4% (変動係数0.4~9.4%), メチルキサンチン類では, 回収率が53.0~106.4% (変動係数0.8~11.0%) であった. 定量限界は, 高感度分析が要求される加工食品において, いずれの物質とも0.1μg/gであった.