- 著者
-
本岡 隆文
山本 正弘
- 出版者
- 公益社団法人 腐食防食学会
- 雑誌
- Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
- 巻号頁・発行日
- vol.60, no.9, pp.394-401, 2011-09-15 (Released:2012-02-22)
- 参考文献数
- 28
- 被引用文献数
-
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原子力及び生体材料に適している金属材料について,水酸化ナトリウム溶液における腐食挙動を調査し,熱力学データから予測される安定化学種との対応を検討した.試験材はジルコニウム,チタニウム,タンタルとニオブである.これらを0.1~6.1 mol/dm3水酸化ナトリウム溶液に48時間浸漬した後,重量減量測定,X線回折分析とXPS分析を実施した.また,動電位分極測定を水酸化ナトリウム溶液で実施した.腐食速度はNb>Ta>Ti>Zrの順序で大きかった.分極曲線では,Ti,Ta,Zrは不働態化すること,Nbは腐食が激しいことが示された.X線回折の結果,Nbはニオブ酸塩として溶解したことがわかった.XPSスペクトルは,Zr,TiはZrO2,TiO2,の酸化皮膜を表面に形成していることを示した.SEM写真では,試験材は均一腐食していることが示された.熱力学データから予測される安定化学種と腐食試験と表面分析結果より想定される安定化学種に異なりが見られたことから,アルカリ域での熱力学データの充実が望まれる.