著者
石賀 信史 岩本 伸二 庄 達夫 石原 清宏 酒井 邦彦 岩藤 真治 山本 泰久
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.108-112, 1990 (Released:2009-10-16)
参考文献数
18
被引用文献数
2

大腸内視鏡で虫体を確認した大腸アニサキス症の1例を経験したので報告する.患者は48歳男性, 1988年11月13日夕食時にサバ寿司を食したが, その2日後より右下腹部痛を訴えて来院した。右下腹部に強い圧痛と筋性防御を認めるが腹部腫瘤は触知しなかった.血液検査では9800/mm3と白血球数の増加を認めたが好酸球数は正常範囲内であった.腹部超音波検査で盲腸から上行結腸にかけての粘膜下層の著明な浮腫を認めた.以上より大腸アニサキス症がもっとも疑われ大腸内視鏡を施行した.大腸内視鏡では発赤, 浮腫著明な上行結腸粘膜に刺入したアニサキス虫体を確認し, 鉗子にてこれを摘出した.その後症状は速やかに改善し5日後に軽快退院の運びとなった.
著者
水嶋 章郎 山本 泰久
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.278-282, 1987-05-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
11

Wilson 病は, 肝硬変, 錐体外路症状, Kayser-Fleischer 角膜輪を主徴とする先天性銅代謝異常で, その麻酔管理には問題が多い.症例は11歳時に本症と診断され, D-ペニシラミンの長期投与を受けている26歳の女性, ドロペリドール, フェンタニール, 笑気-酸素を用いたNLA原法とパンクロニウムの筋弛緩下に, 脊椎管狭窄症に対する椎弓切除術 (C3-7) を行い, 良好な結果をえた. 本例では, 術中に軽度の体温上昇を認めたほかには, 麻酔によると思われる呼吸•循環系, 肝•腎機能への影響を認めず, 術後, 錐体外路症状も増悪することはなかった.本症に病態生理に基づき, 麻酔薬の選択および術中•術後管理について, 文献的考察を加えた.