著者
小林 晃 畑 泰司 山本 浩文 鈴木 真紀 竹元 慎吾 宮上 寛之 太良 光利
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.86-90, 2017-06-20 (Released:2017-06-21)
参考文献数
10

目的:徳之島の医療施設で経験した14例の悪性貧血について臨床的および疫学的検討を行った.方法:平成21年3月より平成26年5月までに当院で悪性貧血と診断した14例を対象として,後方視的に検討した.結果:全例50歳以上で,高齢女性に多かった.14例のうち6例は特に症状はなかったが,定期検査で大球性貧血を認めたことが契機で,悪性貧血の診断に至った.この期間における当院の年間発症数は中央値3(95%confidence interval[CI]:1.25-3.42)であった.結論:徳之島での今回の我々の成績では,悪性貧血の10万人当たりの年間発症率が,本邦の従来の報告例に比し,大幅に高い可能性があることが判明した.その理由として,高い高齢化率,看過されやすい疾患であること,民族的ないし地域的特異性が関与している可能性を指摘した.悪性貧血の罹患率は従来の報告より高い可能性があり,貧血の鑑別診断として,悪性貧血を念頭に入れて診療を行う必要がある.
著者
山本 浩文
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.115, no.7, pp.333-343, 2009 (Released:2009-12-08)
参考文献数
51

海底堆積物から過去の海洋環境を推定することは,近未来への環境予測を可能とする.現在の海洋環境下で生息しているものと同種のプランクトンが2万年前からの微化石として産出する.つまり,現在の海洋環境を正確に把握した上で,古環境を論じられなければならない.本報告では,現在の海洋環境を参考にして,過去2万年前までの化石群集解析を行い,放散虫指数を決定し水塊の分布を求めた.本州東方沖の親潮が直接影響する北の観測点では,海水温の低下は最終氷期最寒冷期の18.0 kaで最大となった.南の観測点では,最終氷期の最寒冷期の18.0 kaから少し遅れ17.1 kaに親潮を含む水塊の流入が見られた.9.0 kaで現在の東北沖の海洋環境に落ち着いた.8.3~6.3 kaでは黒潮親潮混合域が現在よりもやや北に張り出していた.0.3~0.2 kaには房総半島沖に親潮黒潮混合域が南下した.さらに,プランクトンの種構成から黒潮流軸についての解釈を議論する.