著者
小林 晃 畑 泰司 山本 浩文 鈴木 真紀 竹元 慎吾 宮上 寛之 太良 光利
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.86-90, 2017-06-20 (Released:2017-06-21)
参考文献数
10

目的:徳之島の医療施設で経験した14例の悪性貧血について臨床的および疫学的検討を行った.方法:平成21年3月より平成26年5月までに当院で悪性貧血と診断した14例を対象として,後方視的に検討した.結果:全例50歳以上で,高齢女性に多かった.14例のうち6例は特に症状はなかったが,定期検査で大球性貧血を認めたことが契機で,悪性貧血の診断に至った.この期間における当院の年間発症数は中央値3(95%confidence interval[CI]:1.25-3.42)であった.結論:徳之島での今回の我々の成績では,悪性貧血の10万人当たりの年間発症率が,本邦の従来の報告例に比し,大幅に高い可能性があることが判明した.その理由として,高い高齢化率,看過されやすい疾患であること,民族的ないし地域的特異性が関与している可能性を指摘した.悪性貧血の罹患率は従来の報告より高い可能性があり,貧血の鑑別診断として,悪性貧血を念頭に入れて診療を行う必要がある.
著者
畑 泰司 衣田 誠克 矢野 浩司 岡村 純 岡本 茂 門田 卓士
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.3365-3368, 2000-12-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
8

女児の鼠径ヘルニア手術時に精巣を認め,精巣性女性化症候群と診断しえた症例を経験したので報告する.症例は7歳女児.左鼠径部腫瘤を自覚し近医を受診,左鼠径ヘルニアの診断で手術目的にて当院に紹介受診となった.既往歴は2年前に右鼠径ヘルニアにて高位結紮術を施行,この時ヘルニア嚢内に腫瘤を認め腹腔内に還納されている.入院時の現症および検査では異常所見は認めなかった.手術時にヘルニア嚢外側に精巣を認め,その後の検索で精巣性女性化症候群の確定診断を得た.本症候群は社会的な性の決定に関しても早期に発見,適切な対応が望まれ,鼠径ヘルニアの合併症例も多いことから,女児で両側に鼠径ヘルニアを認めるものは本症を念頭に置き治療に臨むことが必要である.