著者
小俣 好作 望月 敬司 千野 正彦 井口 孝伯 飯田 龍一 渡辺 秀夫 山本 雅博 古家 正道 浅尾 武士 田中 昇
出版者
特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.680-685, 1985 (Released:2011-11-08)
参考文献数
20
被引用文献数
5 2

超音波検査による8,976名の甲状腺癌集団検診において, 496名の穿刺吸引細胞診が施行され, 男性14名 (0.22%), 女性19名 (0.69%) に甲状腺癌を発見した. 癌の最大径の平均は11.9±4.2mmであり, その半数以上が10mm以下の小型癌であった.
著者
山本 雅博
出版者
日本ポーラログラフ学会
雑誌
Review of Polarography (ISSN:00346691)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.11-30, 2010-05-31 (Released:2010-06-18)
参考文献数
11
被引用文献数
4 5

電気二重層は電極電位を決定するので電気化学において最も基本的な概念であり,スーパーキャパシター等の応用でも重要であるが,電気化学を専門としている学生諸氏の間で電気二重層の理屈はよくわからないとう声を良く聞く。帯電した電極を対(たい)イオンが遮蔽する静電相互作用 (Poisson方程式)とそのイオンが熱的に散らされて分布( Boltzmann分布)することを同時に考慮(非線形微分方程式)しなくてはならないからであろう。従って,電気2重層の理論は,電磁気学と (統計・ )熱力学に基礎を置く。化学系の学生は,電磁気学(より正確にはガウスの法則だけで十分だが)を理解しにくいてことが,よくわからない原因であるようだ。以下その点も考慮して解説した。付録に,ガウスの法則の説明を書いたので,電磁気学の復習も含めてそこから読んで欲しい。 ここでは, Gouyによって定式化された100年の歴史をもつ Gouy(-Chapman理論) [1, 2] 1および Stern[3]による補正をまず述べる。電気二重層の測定結果の解析においては,大抵の場合この GCS(Gouy-Chapman-Stern)理論で説明が(定性的にももちろん定量的にも)可能である。その後, Grahameが GCS理論に特異吸着の効果を入れてこの理論はある意味完成した [4]。この GCSG理論の基本方程式である非線形 Poisson-Boltzmann式を数値的に解くことにより,帯電界面をもつ3次元構造体(たとえばタンパク質)の電気二重層構造が明らかとなった。 その GCSG理論では,溶媒は無構造誘電体で,イオンの大きさ,イオン間の相互作用も考慮されてないので,電極が強く帯電している場合や電解質濃度が高い場合には一般には正しくない。紙面の都合で,その後進展してきた分子シミュレーションによる電気二重層の数値解については改めて述べたい。長距離力であるクーロン相互作用が帯電した界面で正確に考慮されてない分子シミュレーションの結果の取り扱いには慎重さを要することと,実験で得られている微分キャパシタンスの結果を再現したシミュレーションはまだないように思う。電解質水溶液の場合,溶媒分子数に比べて電解質のイオン数が少なく,シミュレーションで集団平均・時間平均をとることが困難であることも原因のひとつである。
著者
山本 雅博 前田 昭太郎 豊田 博 永原 貞郎
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.11-27, 1977-03-30 (Released:2017-02-13)

杏林大学創立以来(1970∿1976), 杏林大学医学部病理学教室及び病院病理部において剖検された, 感染性心内膜炎6剖検例(細菌性心膜内炎4例, 真菌性心内膜炎2例)の概要を報告し, 治療による本症の病像変貌について考察し, 次のごとき結論をえた。1. 抗生物質治療を受けた細菌性心内膜炎の治癒過程は, 非使用例と比較して本質的な相違はないが, その程度が強くなつているものと推定される。2. 感染性心内膜炎の既往心疾患としてのリウマチ性病変の有無は, 弁膜のAschoff体のほか, MacCallum斑などの存在を注意して検索する必要がある。3. 細菌性心内膜炎の起炎菌としては, 一症例においても, 緑色レンサ球菌が抗生物質治療の結果, ブドウ球菌に交代することがある。したがつて細菌性心内膜炎を起炎菌の種類によつて急性・亜急性とする古典的分類は実用的ではないことを再確認した。4. 真菌性心内膜炎は心臓外科手術ばかりでなく, その他の外科手術やそれに続く抗生物質投与により増加する可能性がある。
著者
垣内 隆 山本 雅博
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.181-191, 2016-04-05 (Released:2016-05-10)
参考文献数
85
被引用文献数
4

適度な疎水性を持つイオン液体を塩橋に使用すると,濃厚KCl水溶液からなる塩橋では不可能であった低イオン強度水溶液のpHを正確に測定することができる.また,試料水溶液が疎水性イオンを含まなければ,pH標準緩衝液より高いイオン強度を持つ試料のpH測定にも,イオン液体塩橋は有望である.イオン液体塩橋は,水素イオンのみならずその他のイオンの単独イオン活量測定を広いイオン強度範囲で測定することを可能にするので,pH測定の実用的な観点のみならず,長年にわたる濃厚KCl水溶液塩橋を用いるポテンショメトリーの枠組みを越えた電解質溶液の研究が展望できる.