著者
山本 麻子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.A09, 2007

10代後半から20代前半の女性を対象としたファッション雑誌について、レイアウト・デザインを中心に分析し、雑誌の特徴とファッションに与える影響について考察した。調査はJMPAによる05年9月~06年8月までの印刷証明付部数開示から、女性ヤング誌(ファッション総合)上位3位である『CanCam』、『ViVi』、『JJ』を対象とし、広告ページを除いたファッション・ページについて、図版数および図版レイアウトについて集計・分析を行った。結果として、3誌とも見開き1ページに対する図版数が約20~70枚近くあり、大変込み合った誌面作りが行われていることが分かった。また小さな図版が多く、読みにくいものが多かった。レイアウトは、人物像と商品アイテムを組み合わせたものが大半を占めた。また総ページに対し広告ページは約40%を占め、メーカーのカタログとして機能しており、商品の売上に直結した誌面作りが意識されていた。かつての雑誌の使命であった新しい文化の創造や優れたデザインの提案よりも、大量の商品情報を得たい読者のニーズに応えるものであると、同時に、絶えず消費を喚起するものであるといえる。
著者
山本 麻子
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.E02, 2004 (Released:2005-06-15)

19世紀前半の英国南西部の農村での労働者階級を中心とした衣服の変化に注目した。資料としてT・ハーディとR・ミットフォードの小説の記述を参照した。産業革命の影響によって、英国の紡績は18世紀後半から急速に工業化した。大きな変化の一つに、それまで毛織物や亜麻布が中心だった服地に新しい素材・木綿が加わったことが挙げられる。この新しい素材は少なくとも1820年代には木綿生地が広く普及し、労働着にも白やプリント生地が使われるようになった。特に白生地は清潔感と上品さをあらわすためにエプロンやボンネットなどに好んで使われた。近隣の町には布地の小売店や既製服の店が建ち並び、余裕のある者は豊富な商品から好みの衣類を買い求めることができた。さらに晴着用にロンドンから最新流行の服を注文する者もいた。また農村部の労働者階級でも、既製服や新品に近い衣服を購入できるほど、衣類は手頃な値段になっていた。従来は産業革命の影響が庶民の衣服にまで及ぶのは、ミシンが導入されるなど工業化がより本格化する19世紀後半からと言われていたが、それよりも早期に庶民服をとりまく環境は豊かになりはじめていた。
著者
丹羽 哲矢 布野 修司 モハン パント 山本 麻子 山田 協太
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究論文集 (ISSN:18802702)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.189-200, 2006 (Released:2018-01-31)

本研究では,血縁婚姻関係を持たないもの同士を含む同居を行う住居を共住住居と定義し,事例調査により,その空間構成と利用形態を明らかにした。利用形態の特徴として,①個の空間より,共同で住む事により得られるものを重視する。②生活時間帯にずれにより共用部の適時利用が計られる。③経験者は人/場所を考えながら継続的に居住住居に住む場合がある。④居住者の他住居滞在や定期的に来訪する非同居者の存在があることが確認された。空間構成の特徴として,①個室の確保と同時に共用空間の快適性を求める。②最も広い空間を造り共用空間として利用する。③所有物のうち共用可能なものは共用空間に配置する傾向があることが示された。
著者
山本 麻子
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.172, 2006 (Released:2006-08-10)

ヴィクトリア朝初期の一般家庭では、画一的な仕上がりのベルリン刺繍が人気だったが、これに批判的だった芸術家たちは、新しい技法である芸術刺繍を提案した。特にウィリアム・モリスは芸術刺繍の推進者となり、彼の思想に賛同する団体が数多く設立された。中でも1872年に開校された王立刺繍学校では、モリスは講師として関わり、図案も提供した。モリスらの働きかけにより、19世紀後半には芸術刺繍は一般のレベルにも広まり、室内装飾にも影響を与えた。
著者
山本 麻子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.53, pp.340-341, 2006-06-20

Berlin-wool work was the most popular embroidery throughout the early Victorian age but teacher and artist took a critical attitude. The interest of traditional embroidery was brought above all by W. Morris, led to the foundation of societies for a new embroidery, Art Needlework. They wanted to bring the needlework up as fine art. The Royal School of Art Needlework founded in 1872. Morris supplied many design and his theory of embroidery for the school. Art needlework was in fashion on 1880's by the success of the school and Morris's embroidery.