著者
伊藤 瑞恵 藤井 恵介 藤原 重雄
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究論文集 (ISSN:18802702)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.207-216, 2005 (Released:2018-01-31)

南北朝期に編纂された,青蓮院流の記録集である『門葉記』は,中世建築指図を多数含む,中世建築史上重要な史料である。青蓮院に尊円親王自筆本を主とする原本州伝来しているが,流布している図版は写本によるものであるため,原本図版による指図集を作成し,指図研究の基礎史料とする。『門葉記』修法記録のデータベースを作成し,図版整理に活用する。同じく代々青蓬院門主に伝領されてきた『吉水蔵聖教』についても,指図を抽出し,図集を作成する。『吉水蔵聖教』指図と『門葉記』指図とを比較し,両者の書写関係を明らかにすることによって,『門葉書割の指図作成過程を考察し,『門葉記』の指図の特徴を多角的に論じる。
著者
菊地 成朋 山口 謙太郎 柴田 建 田島 喜美恵
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究論文集 (ISSN:18802702)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.189-200, 2010

公営住宅標準設計51Cは,日本の住宅計画史上におけるダイニングキッチン成立の契機として位置づけられ,さらに昨今ではnLDK蔓延の起源であるかのように語られることもある。ただし,51Cが実際にどう建設され,どのような住まいを実現させたのかについてはあまり知られていない。この研究は,福岡県内に現存する51Cを発掘し,実測調査によってそれらの記録を作成し,これに資料分析を加えて地方都市圏における51Cの展開を明らかにすることによって,51Cの実像への接近を試みたものである。
著者
河邊 聰 内藤 郁子 野村 正樹 畑 正一郎 大森 靖子 平家 直美 林 茂 吉田 光一 木村 忠紀 堀 榮二 遠藤 康雄 志村 公夫 冨家 裕久
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究論文集 (ISSN:18802702)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.433-443, 2008

京都の都心部には,平成12年の調査で3万戸の伝統町家があることが分かっていた。その後年々数は減少しているといわれる。町家では日々の生活が営まれ,その上で都市的・文化的価値の高さが語られる。(財)京都市景観・まちづくりセンターは,京町家居住者からの様々な相談に応じる町家相談会「京町家なんでも相談」を平成13年度に立ち上げた。本稿は,この相談会に寄せられた町家居住者からの相談内容をヒアリング形式で間接的に学習し,それを参考資料とした。資料から居住にかかわる不満・不安を抽出・分析し,問題点の把握と理解をした上で,今後居住不安解消の具体案を策定し,居住者への居住支援方策を提示したいと考える。このことから京町家の保全・継承の環境づくりに寄与したいと考えるものである。
著者
境野 健太郎 鈴木 健二
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究論文集 (ISSN:18802702)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.215-226, 2009

本研究は,史資料の散逸が激しく,また語り手である入所者の高齢化が進むハンセン病療養所において,「隔離施設」として発展した施設構成の変遷を明らかにした上で,居住の自由を奪われた「隔離施設」での居住の実態を寮舎及び患者住宅のプラン変遷から解明した。また,入所者による居住環境改善過程について詳細な分析を行い,人権が激しく毀損され,自己のアイデンティティを問い直される環境に長期におかれる中で,自律を獲得し,自分らしい生き方を回復していく過程/手段のひとつとして,居住環境の改善が行われてきた事実を明らかにした。
著者
藤原 美樹 石丸 進 松本 靜夫
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究論文集 (ISSN:18802702)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.201-212, 2010 (Released:2018-01-31)

本研究は,書院造の三要素である,床の間,付書院,違棚と中国古典様式家具との関連性を検証し,書院造の室内意匠の成立に起因する中国家具文化の受容と変容を探ることを目的としている。まず関連文献史料の収集,分析そして,中国寺院建築や伝統的民居,園林建築の室内意匠の実地調査を行い検証した。その結果日本では,留学僧(渡海僧)などによる文物交流により,請来された中国古典様式家具文化は家具として定着せず,独自の展開がみられ,建築の室内構成要素として日本的な家具文化を形成したものであることを明らかにすることができた。