著者
鵜飼 和浩 山本 恭子 森本 七重 松下 紀美子 山田 みゆき 尾崎 富美代 田中 美代子 谷垣 友子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.4_59-4_66, 2003-09-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
26

看護職の石鹸と流水による手洗いの有用な方法について,石鹸泡立て時間,流水すすぎ時間,手拭き乾燥方法を種々に設定し除菌効果より検討を加えた。 その結果,流水時間を15秒間とした場合,石鹸泡立て時間8秒間群と15秒間群で手洗いによる有意な細菌数の減少を認めたが,30秒間群では減少は認められなかった。 石鹸泡立て時間を15秒間とした場合,流水すすぎ時間は15秒間,30秒間,60秒間群共に手洗いによる細菌数の有意な減少を認め,60秒間群の除菌効果が最も高かった。 ペーパータオル使用枚数は2枚以上で除菌効果があり,特に3枚使用群が最も高く,1枚では除菌効果は認められなかった。 布タオルの連続使用ではタオルに付着した細菌数は漸次増加し,手洗いによる除菌効果を認めたのは1人目のみであった。 以上より石鹸と流水による手洗いでは石鹸泡立てを8~15秒間行い,泡とともに存在する細菌を時間をかけ十分に洗い流し,ペーパータオル2枚以上,出来れば3枚を使用し十分に手指を乾燥させることが重要である。 また,共用タオルは使用する毎に手洗いによる除菌効果が低下するので,その使用は厳に慎むべきである。
著者
曽田 直樹 堀 信宏 大場 かおり 山田 みゆき 長谷部 武久 石田 裕保 河合 克尚 藤橋 雄一郎 田島 嘉人
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第23回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.O007, 2007 (Released:2007-11-02)

【目的】股関節内旋筋及び外旋筋は、股関節を回旋させる以外の機能として歩行時に同時収縮による安定性の役割や遠心性収縮による制御としての役割などがある。そのため両筋群の筋出力の優位性を把握することが必要である。股関節内外旋筋出力の優位性は、一般的に外旋筋出力の方が高いとされている。しかし、股関節伸展位(解剖学的肢位)での報告が多く、関節角度や姿勢変化に応じた筋出力の優位性についての報告はまだない。適切な評価や治療を施行するためには、異なる肢位での筋出力の優位性を把握することは重要であると考える。そこで今回、運動肢位の違いによる股関節内旋筋と外旋筋の筋出力の優位性について若干の考察を加え報告する。 【対象】対象は、下肢に既往のない健常な成人84名とした(平均年齢22.5±4.7歳、平均身長168.3±7.2_cm_、平均体重61.7±9.8_kg_)。全員には、本研究の趣旨を十分説明した上で同意を得た。 【方法】運動課題は最大等尺性股関節内旋・外旋運動とし、股関節屈曲位(椅坐位)と股関節伸展位(背臥位)での条件で筋出力の測定を行った。その際、股関節内外旋中間位・外転10°膝関節90°屈曲位とした。筋出力の測定には、バイオデックス社のシステム3を使用し、各条件でそれぞれ1回測定した。測定は3秒間行い、測定間には10秒間の休息を入れた。代償動作の防止のために、ベルトにて体幹、骨盤、大腿骨をシートに固定した。両上肢は座面両端の手すり、あるいは支柱を把持した。測定順序は、ランダムに行った。統計処理は対応のあるt検定を用い、有意水準は1%未満とした。 【結果】股関節伸展位での内旋筋出力は58.9Nm、外旋筋出力は74.8Nmであった。また股関節屈曲位での内旋筋出力は98.2Nm、外旋筋出力は80.6Nmであった。伸展位では外旋筋出力、屈曲位では内旋筋出力が有意に高い値を示した。 【考察】今回の測定では股関節屈曲位と伸展位では内外旋筋出力の優位性が逆転する結果となった。要因として肢位が異なることにより股関節内外旋に参加する筋が異なることが伺えた。一般的に股関節内旋筋の主な動筋は、小殿筋前部線維・中殿筋前部線維・大腿筋膜張筋であるが、KAPANDJIらによると梨状筋は股関節屈曲60度以下では外旋筋,60度以上では内旋筋として働くと報告している。またDelp SLらは大殿筋上部線維・中殿筋後部線維・小殿筋後部線維・梨状筋は伸展位では外旋筋として働き屈曲位では内旋筋として働くと報告している。つまりこれらの筋作用の逆転が今回の結果に大きく関わったと思われた。