著者
山田 善靖 松井 知己 杉山 学
出版者
公益社団法人 日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
日本オペレーションズ・リサーチ学会論文誌 (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.158-168, 1994
被引用文献数
16 57

事業体の経営効率を評価するには、その優れている点に焦点を当てて分析する方法とその劣っている点に焦点を当てて分析する方法が考えられる。DEA(Data Envelopment Analysis)は事業体の優れている点から効率性を評価する方法であり、一般に広く利用されている。これに対して本論文では、事業体の劣っている点に焦点を当てて非効率を分析する方法として"Inverted DEA(Inverted Data Envelopmen Analysis)"を提案する。Inverted DEAは、従来のDEAモデルと同じ仮定を用いるが、目的関数にDEAとは逆の関係を与えて事業体の経営に対する非効率の度合いを評価する手法である。次に、ここで提案したInverted DEAが有効に利用される例として、Inverted DEAと従来のDEAを用いて事業体を分類する方法を論じる。この方法は、Inverted DEAとDEAによる評価を組み合わせて用い、事業体の良い所と悪い所を総合的に把握し分類する方法である。この方法は、DEAを単独に用いる場合にしばしば指摘される問題点である、特異な活動をする事業体の評価が高く出る傾向がある点と、大部分の事業体のDEA効率値が1に近い場合、評価が困難である点を補うことができる。最後に実際のデータを用いて、事業体の経営効率の評価分析を行う。
著者
山田 善靖 末吉 俊幸 杉山 学 貫名 忠好 牧野 智謙
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
Journal of the Operations Research Society of Japan (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.381-397, 1995-12
被引用文献数
5

本論文は、日本的経営の為のDEA(Data Envelopment Analysis)法を提案する。提案の理由は、従来のDEAがアメリカ型の経営評価を基礎にしたものであり、その応用だけでは日本的経営評価の本質的特徴を表現しきれない点にある。より詳しく述べると、日本的経営評価の本質的特徴は、評価される事業体全体の相対的バランスを常に考慮に入れた評価を行うところにあると言われている。しかし、従来のDEAでは事業体の効率性評価をする場合、事業体全体との相対比較を効率性の高い事業体に対してのみ行っており、上記の様な日本的経営評価の特徴を含む評価を行うことはできない。そこで本論文は、この様な特徴を含む日本的経営にDEAをどの様にうまく組み入れて行くかを論じる。まずはじめに、日本とアメリカの経営体質の違いがDEA情報の使い方にどの様な影響を与えているかを考察する。その上で、日本的経営により合致したDEAの使い方を提案する。最後に、新しく提示されたDEA法を用いて政府の公共事業投資に関する効率性分析を行い、その実用性と有効性を示す。