著者
澤井 賢一 黒木 裕介 松井 知己 合原 一幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.133, pp.13-18, 2006-12-15

本稿では,フルートの運指を最適化する手法と,その最適化モデルに含まれるパラメータのチューニングについて述べる.今回提案する手法ではこの最適化問題を,対象とするパッセージから生成されるグラフの最短路問題に帰着してモデル化した.このグラフは,パッセージ中の音に対する運指の候補を頂点集合とし,隣同士の音に対する運指間に有向辺をつけたものである.頂点間距離には,二つの運指を続けて演奏する際のやりにくさを適切に定めて用いる.また,パラメータを用いて距離を定めており,パラメータの値によって出力される運指が変化する.更に,例えばユーザの使い慣れた運指を教師信号とし,その運指が出力されるようにパラメータをチューニングする問題を逆問題として定式化した.This paper describes an optimization method of flute fingerings and parameter tuning. Our op timization method uses a shortest path problem of a directed graph generated by an objective passage. The vertices are the probable fingerings of the tones of the passage, and the arcs are the pairs of fingerings of the consecutive tones. The distance is defined as suitably designed difficulty in using the fingerings. Besides, this method has some parameters in calculation of distance and outputs different fingerings with the same passage by changing the parameter values. Furthermore, we propose a method of tuning the parameter values based on inverse optimization so as to, for example, get the accustomed fingerings of a certain passage as output.
著者
松井 知己
出版者
日本評論社
雑誌
数学セミナー (ISSN:03864960)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.44-48, 2010-06
著者
山田 善靖 松井 知己 杉山 学
出版者
公益社団法人 日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
日本オペレーションズ・リサーチ学会論文誌 (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.158-168, 1994
被引用文献数
16 57

事業体の経営効率を評価するには、その優れている点に焦点を当てて分析する方法とその劣っている点に焦点を当てて分析する方法が考えられる。DEA(Data Envelopment Analysis)は事業体の優れている点から効率性を評価する方法であり、一般に広く利用されている。これに対して本論文では、事業体の劣っている点に焦点を当てて非効率を分析する方法として"Inverted DEA(Inverted Data Envelopmen Analysis)"を提案する。Inverted DEAは、従来のDEAモデルと同じ仮定を用いるが、目的関数にDEAとは逆の関係を与えて事業体の経営に対する非効率の度合いを評価する手法である。次に、ここで提案したInverted DEAが有効に利用される例として、Inverted DEAと従来のDEAを用いて事業体を分類する方法を論じる。この方法は、Inverted DEAとDEAによる評価を組み合わせて用い、事業体の良い所と悪い所を総合的に把握し分類する方法である。この方法は、DEAを単独に用いる場合にしばしば指摘される問題点である、特異な活動をする事業体の評価が高く出る傾向がある点と、大部分の事業体のDEA効率値が1に近い場合、評価が困難である点を補うことができる。最後に実際のデータを用いて、事業体の経営効率の評価分析を行う。
著者
松井 知己 平賀 智紀
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.219-223, 2013-04-01

本稿では,サッカーチームの強さに対し,Analytic Network Process (ANP)を用いた分析を行う.ANPを用いた分析では,分析に用いる項目間の関係を考慮に入れることにより,項目別の強さの推定が可能となる.提案モデルを実際のスポーツデータに用いた際の結果についても報告を行う.
著者
越川 満 内山 将夫 梅谷 俊治 松井 知己 山本 幹雄
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.1443-1451, 2010-08-15

フレーズベース統計的機械翻訳では,連続する単語列(フレーズ)を翻訳の最小単位とした確率的規則に基づいて翻訳候補の順位付けを行い,最も確率の高い候補を出力とする.しかし,入力文のフレーズ区切りや翻訳前後の訳語関係(フレーズ対応)の組合せ数は膨大である.そのため,従来の統計的機械翻訳システムは,翻訳候補およびフレーズ区切り・対応に対して大胆な近似を行うことで探索空間を狭めており,厳密な確率の最大化をしていない.本稿では,フレーズ対応・区切りに関する厳密な確率最大化を行う問題を,フレーズベース翻訳において広く用いられているすべての素性を考慮可能な形式で整数線形計画問題として定式化し,それを翻訳候補のリランキングに応用する手法を提案・実装する.評価実験の結果,提案手法は有意に翻訳精度を改善することが示されると同時に,フレーズベース翻訳における探索の課題は,フレーズ対応ではなく翻訳候補文についてより多くの候補を評価することにあるという示唆が得られた.
著者
松井 知己 吉瀬 章子 宮代 隆平 宮本 裕一郎
出版者
中央大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

1.一様な巡回トーナメント問題に関する近似法 本拠地間の距離が一様な巡回トーナメント問題に対し、移動距離(回数)最小化問題に対するトーナメントスケジュールの作成法を、平成18年度国際会議の論文特集号(Lecture Notes in Computer Science)に本年投稿し、採択された。本手法は,カークマンスケジュールと呼ばれる特殊なスケジュールを改変することで,2重総当たり戦の移動回数最小化問題の良質な解を構築する.本手法によって、最適解に非常に近い解が得られることを,理論的に保証した.提案手法により,2重総当たり戦の移動回数最小化問題について,チーム数22,28,34,40,46の場合には既存の世界記録を凌駕する新たな解が得られ,さらに得られた解は最適解であることを保証することに成功した。2.半正定値計画緩和に基づく試合場決定問題の解法試合場決問題について、半正値計画緩和と、形計画緩和に基づく解法の提案を行った。(この結果は、Pacif1c Joumal of Optimizationに採択されている。)両手法について、1重と2重総当たり戦の両方の問題に適用する計算実験を行った。その結果、1重総当り戦では、線形計画緩和に基づく方法は、殆どの問題例において最適解を生成する事が確認された。2重総当たり戦では、線形計画緩和に基づく方法では、劣悪な解しか得られないことが判明した。これに対し半正定値計画緩和に基づく方法は、どの問題例でも高品質の解を生成することが確認された。半正定値計画緩和は、計算時間の短縮が検討課題として残されている。