著者
石井 信之 木庭 大槻 許 多 佐藤 イテヒョン 清水 千晶 田中 俊 林田 優太郎 菅原 美咲 水野 潤造 武藤 徳子 鈴木 二郎 室町 幸一郎 下島 かおり 藤巻 龍治 宇都宮 舞衣 山田 寛子
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.38-43, 2020

<p> 目的 : 現在では, 歯科用実体顕微鏡や拡大鏡を使用した拡大視野下の長時間にわたる精密歯科診療が求められ, 歯科医師や歯科衛生士の正確な手技への支援や肉体的負担を軽減できる歯科診療支援システムの開発が必要とされている. 本研究は歯科診療アシストスーツを開発することで, 歯科診療の精密性向上, 診療成功率の向上, および歯科医師や歯科衛生士の肉体的負担軽減を目的とする.</p><p> 材料と方法 : 歯科診療アシストスーツの上腕負担軽減効果を解析するために, 表面筋電図による解析と定量評価機能を有した臨床シミュレーション装置を使用した臼歯部窩洞形成を実施した.</p><p> 結果 : 歯科診療アシストスーツを作動することで, 上腕二頭筋および上腕三頭筋の平均振幅値はいずれも有意に減少し, 上腕の負担軽減効果が認められた. 臼歯部窩洞形成の客観的総合評価は, 歯科診療アシストスーツ作動前と比較して作動後に有意な高得点を示した.</p><p> 結論 : 本研究で開発した歯科診療アシストスーツは, 上腕二頭筋と上腕三頭筋の緊張を軽減することによって, 診療精度の向上と長時間診療における術者の負担軽減を可能にする装置であることが示された.</p>
著者
緒方 正名 當瀬 美枝 山田 寛子
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.19-32, 1997
被引用文献数
1

本調査においては, 在宅介護者の介護負担度を探るために, 高齢者の介護をしている介護者の負担感を半定量的に評価する指標として開発されたCostofCareIndex(CCI)を導入し, 老人福祉法に位置付けられている老人ホームヘルパー(194名)と実際に自宅で家族の一員を介護している在宅介護者(270名)を調査対象にして, その負担感に焦点を当て両者の差異を比較検討した.そのCCIの5項目の制約について, 単純集計の結果から両群の差異を得点のメディアンで比較すると, (1)社会的制約のある人は, 在宅介護者が約46%, ホームヘルパーが約48%, (2)健康については, いずれかの形でホームヘルパー, 在宅介護者の約40%がそれを損ねていること, (3)介護に対する意欲では, ホームヘルパーの約2倍以上の在宅介護者が失っていること, (4)被介護者の態度については, ホームヘルパーの約2倍以上の在宅介護者が不愉快さを感じめいること, (5)介護に必要な費用については, 在宅介護者の約1.4倍以上のホームヘルパーが高いと考えていること(ホームヘルパーの値は推定値である), が明らかにされた.また, 各項目において単純集計の結果における訴えの比率について両群の差異をκ2検定で調べた.そして, ホームヘルパーと在宅介護者の差異の多い質問について両群の統計的有意差の見られた項目を中心に各群別のクロス集計を行った.その結果, 両群の介護者共に(1)健康を損ねると被介護者に対する不愉快さが増すこと, (2)社会的制約が増すと被介護者に対する不愉快さが増すこと, (3)介護に対する意欲の有無は, すべての負担度に直接影響を及ぼさないこと, が認められ, また在宅介護者では, その38.3%が, 社会的制約に基づいて健康を損ねていること, などが明らかになった.終りにあたって, 本調査の結果が, ホームヘルパーと在宅介護者の負担感を軽減するための方法と現状の福祉政策の課題を提示するための基礎資料となり, 在宅介護者の負担の軽減を目的としたホームヘルパーの確固たる位置付けと在宅福祉の推進に活用されることを期待していることを述べた.