著者
山田 晃司 橋本 竜作 立岡 愛弓 幅寺 慎也
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.43-51, 2019-03-31 (Released:2020-04-03)
参考文献数
17

左中前頭回から下前頭回, 島前方の損傷後に漢字と仮名の書字障害を呈した軽度失語症例において, 仮名やローマ字の書字とタイピングについて検討した。症例は 73 歳, 右利き男性。発症前からタッチタピングが可能であった。本例に仮名とローマ字の書き取り・タイピング課題を実施した結果, 書き取り課題の成績のみ低下を認め, その誤反応は直音に比べ, 特殊音に多かった。このことから本例は「音節-仮名文字書記素」および「音節-ローマ字書記素」への変換障害が示唆された。本例は発症前からタイピングに習熟していたことから, 「音節-ローマ字書記素」の変換処理を介さずに, 「モーラ-タイピング運動」へと変換する独立した機能単位が構築されていた可能性がある。それゆえ, ローマ字の書字障害とタイピング能力の保存といった状態を呈したと考えられた。
著者
山田 晃司 橋本 竜作 幅寺 慎也
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.677-681, 2020-07-10

要旨 【はじめに】皮質下性失語に伴う構音の障害は自発話で顕著に出現し,生活場面で意思疎通制限を生じる.今回,軽度の皮質下性失語症例に,伝えたい内容の要点となる単語を事前に書き出し,その後に発話する「メモ発話」という代償手法を導入し,その効果を検討した.【対象】71歳,右利き,男性.軽度の皮質下性失語を認め,音の歪みを中核とする構音の障害であった.【方法と結果】4コマ漫画の説明課題を用い,2条件(自発話とメモ発話)の実質語数と音の誤り,聴覚的印象評価について比較した.その結果,自発話に比べ,メモ発話で実質語の数が増え,音の誤りも有意に減少した.さらに聴覚的印象評価もメモ発話で有意に発話の違和感が少なかった.【結論】自発話に比して音読で構音が改善し,かつ自発書字がある程度可能な症例には「メモ発話」を導入することで,利用場面は限られるものの,コミュニケーションを改善できる可能性がある.
著者
山田 晃司 橋本 竜作 幅寺 慎也
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.643-651, 2020-06-01

音読に際して異なる誤りを呈した2例の純粋発語失行例を報告した。症例Aは多彩な音の誤り(置換・歪み・省略)を生じ,症例Bは主に長母音の省略とピッチの誤りを認めた。2例の病巣部位は,左中心前回の中で異なっており,症例Aは左中心前回の前壁を除く後部からやや深部に,症例Bは左中前頭回および中心前回前部を含む深部白質であった。誤りのパターンを中心前回での病巣の違いから検討した。
著者
山田 晃司
出版者
一般社団法人 表面技術協会
雑誌
表面技術 (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.224-232, 2020-03-01 (Released:2020-09-01)
参考文献数
4
被引用文献数
1