著者
森 浩一 蔡 暢 岡崎 俊太郎 岡田 美苗
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.29-44, 2013-08-30

To elucidate the neural basis of stuttering, brain activation for reading words was compared between adults who do and do not stutter (AWS/ANS) with functional MRI. Japanese native speakers read aloud familiar (F), unfamiliar (U) and pseudo- (P) words of 4 or 5 syllables. P contained much fewer native syllable sequences than F or U. F primarily activated the left angular/supramarginal gyri (lAG/SMG), U Broca's area, and P the left ventral premotor/motor areas (lvPMA/MA), respectively, in ANS. AWS showed lower activation in lAG/SMG and Broca's area, but higher activation in lvPMA/MA, implying that AWS cannot read native syllable sequences as efficiently as ANS.
著者
岡崎 俊太郎
出版者
生理学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は,発声と聴覚(音声の聴取)の相互作用とその神経基盤に着目し,これまで吃音者の流暢性を増大させるために用いられてきた手法の作用機序を解明することである.特に発話が聴覚フィードバックに合わせて実行されてしまう「引き込み現象」について非吃音者および吃音者においてその特性を網羅的に調べた. 13名の非吃音者および吃音者5名において自声および他声を聴取したときの発話の音響特性を分析した.その結果,発話の途中における引き込み現象は非吃音者および吃音者双方に観測され,この現象によって,斉唱や遅延聴覚フィードバックが,吃音者の非流暢性低下させるメカニズムを説明できることが分かった.また発話の開始時においては非吃音者では引き込み現象が起こらず,能動的に発話を開始していたが,吃音者では発話の開始自体を聴覚フィードバックに対する引き込みに依存する傾向が見られた.この結果から,聴覚情報として自分の声が必要な遅延聴覚フィードバックよりも斉唱のほうが吃音者の非流暢性低減に高い効果を示す理由が説明できる.本研究の結果は,今後の吃音に対する言語聴覚療法に対して有用な情報を提供し,これまで健常者だけでは不明瞭であった発話制御機構の神経基盤解明につながるものである.
著者
鈴木 里砂 村岡 慶裕 岡崎 俊太郎
出版者
日本バイオフィードバック学会
雑誌
バイオフィードバック研究 (ISSN:03861856)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.15-20, 2017 (Released:2017-05-22)
参考文献数
9

【目的】我々は, 筋電図バイオフィードバック療法の普及を促進する目的で, 最新の主要なスマートフォン, タブレット端末で使用可能な低コスト簡易型筋電図バイオフィードバック装置 (以下, LC-EMG) を改良した. 今回, この改良したLC-EMGがどの程度の性能を有しており, バイオフィードバック療法で使用可能となる性能を持ちうるか検討するため, 既存の検査用筋電計と比較し, 筋電波形の一致度を確認したので報告する.【方法】正電極, 負電極, および参照電極からのコードをそれぞれLC-EMGと検査用筋電計である日本光電工業社製Neuropack 8に接続し, 性能比較を行った. 対象者の右尺側手根伸筋に電極を貼付け, 手関節掌背屈運動を10秒間で5回実施し, 得られた筋電波形を比較検討した.【結果】提案装置は, 筋収縮量や収縮のタイミングが検査用筋電計とほぼ同様であり, EMG-BF装置として, 妥当性のある筋活動を, 容易かつリアルタイムに視認できた.【結論】今回の提案装置は, EMG-BF療法で活用する時に, 妥当性があることが示された. また, 機器自体を低コストで作成でき, 広く普及しているスマートフォン, タブレット端末を筋電図モニター及び筋電図波形の記録装置として利用可能となるため, 施設や在宅など場所を選ばず利用することができ, 汎用性に優れた装置であるといえる.