- 著者
-
岡崎 薫
- 出版者
- 日本臨床麻酔学会
- 雑誌
- 日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
- 巻号頁・発行日
- vol.28, no.2, pp.301-309, 2008 (Released:2008-04-16)
- 参考文献数
- 22
プロポフォールに関する注目すべき留意点として, 注入時痛とpropofol infusion syndrome (PRIS) がある. 溶媒の違いが注入時痛に影響し, 中・長鎖脂肪乳剤プロポフォールではその痛みの程度と頻度が少なくなった. PRISはまれではあるものの致死性合併症である. 高用量プロポフォールの長期投与時に代謝性アシドーシス, 脂質異常症, 多臓器不全が進行し, 徐脈性不整脈, 心停止に至る. 乳酸アシドーシスやBrugada型心電図変化は前駆症状と考えられ, 認められたらただちにプロポフォール投与を中止する. 原因としてミトコンドリアにおける脂質代謝障害や, 遺伝子欠損症の関与が疑われている. 炭水化物の摂取不良に陥らないように解糖系代謝を正常に保ち, プロポフォールの過剰投与を避ける. PRISは麻酔科医が知っておくべき重大なトピックである.