- 著者
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岡本 俊宏
- 出版者
- 耳鼻咽喉科展望会
- 雑誌
- 耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
- 巻号頁・発行日
- vol.60, no.5, pp.243-252, 2017-10-15 (Released:2018-10-15)
- 参考文献数
- 26
歯牙の構成組織から発生する歯原性嚢胞と歯原性腫瘍は, 比較的類似した臨床像, 画像所見を呈するものが多い。 これらの病変の多くは無症状で経過し, 病変部の膨隆や顔貌の変化, 何らかの機能障害をきたして発症することが少なくない。 また, 患者が歯科治療の際の X 線検査によって偶然に発見される場合も多くみられる。 歯原性腫瘍の多くは若年者に好発し, 稀に再発を繰り返すものや悪性転化する症例もあることから, 早期に診断し適切な治療がなされるべき疾患である。 上顎に生じた病変は上顎洞, 鼻腔, 頭蓋底へと進展する症例も散見されている。 そのため, 隣接領域である耳鼻咽喉科において診断・治療が必要となる症例に遭遇する可能性がある。