著者
臼井 颯汰 栗野 盛光 大藤 剛宏 繁野 麻衣子
出版者
公益社団法人 日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
日本オペレーションズ・リサーチ学会和文論文誌 (ISSN:13498940)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.1-21, 2022 (Released:2022-03-04)
参考文献数
26

臓器移植は,他の救命手段のない患者に,他者の健康な臓器と取り替えて機能を回復させる医療である.臓器移植は治療のための最終手段であり移植数を増やすことは重要な課題であるが,臓器を提供するドナーがいても医学的制約と社会的制約により移植不可能なことがある.社会的制約の克服方法の一つに交換移植(ドナー交換移植)があり,交換移植のシステムを導入している国も複数ある.交換移植のなかでも,レシピエントとドナーの2組の間でドナー交換をする循環型は非2部グラフ上のマッチングとして表現できる.移植数を増やすという目的に従うと,安定性の概念を大域的に拡張して要素数の多いマッチングを含むポピュラーマッチングによる交換が一つの方法となりえる.そこで,本研究では,交換移植のシステムとしてポピュラーマッチングのなかで要素数が最大のドミナントマッチングに着目し,ドミナントマッチングを求める発見的解法を示し,その方法を用いて肺移植を対象にシミュレーションをおこなう.
著者
伊達 洋至 小池 薫 板東 徹 庄司 剛 陳 豊史 藤永 卓司 岡本 俊宏 佐野 由文 大藤 剛宏 山根 正修
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、京都大学(呼吸器外科および救急医学分野)と岡山大学(呼吸器外科)の共同研究により、心停止ドナーからの肺移植臨床応用をめざすものである。体外肺還流(ex-vivo lung perfusion, EVLP)の実験系を用いて、両大学で大動物実験を継続した。京都大学では、EVLP還流液としてのET-Kyoto液の有用性とEVLPによる肺水腫を来したグラフト肺修復の可能性を報告した。一方、岡山大学では、EVLP中に吸着膜を使用して炎症性サイトカイン(TNFαとIL-8)を除去する効果を検討し、サイトカイン以外の因子がグラフト肺の傷害に関与している可能性を示した。