著者
岡本 裕行 内橋 康充 ルォン ゴォク カーン 宮原 照夫 川面 克行 西山 孝 藤井 隆夫 古川 憲治
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.318-327, 2009-07-20
参考文献数
21
被引用文献数
1 5

anammox処理を応用してビール工場排水の窒素量を効率良く削減することを目指し,アサヒビールの工場において実際の排水を用いて,anammox処理に適用させるための前処理実験を実施した.供試排水のTOC値の18.5%は酢酸とプロピオン酸から成り曝気処理で容易に分解した.有機物分解後にアンモニア態窒素酸化が起こる事象が確認され,前処理工程としてはアクリル繊維担体で微生物を固定化した曝気槽(有効容積360 L)で有機物の除去(活性汚泥処理)を行った後,同型の曝気槽にて部分亜硝酸化処理を行うプロセスが構築できた.<br>半年間の連続実証運転において,有機物除去能力1.5–2.4[kg-TOC/m<sup>3</sup>/d]程度,部分亜硝酸化処理能力は1.5–2.5[kg-NH<sub>4</sub>/m<sup>3</sup>/d]程度であった.供試排水への急激な高濃度排水あるいは浮遊性懸濁物質(Suspended Solid : SS)の流入や運転ミスがない限りは,有機物を80%除去した上,亜硝酸化率が50%付近で維持できる前処理が可能であることを連続1ヶ月間確認することができた.