著者
臼田 春樹 和田 孝一郎 岡本 貴行 田中 徹也 新林 友美
出版者
島根大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

腸粘膜バリアの慢性的な低下(leaky gut syndrome: LGS)は全身疾患の発症に深く関与することが示唆されている。しかし、ヒトに使用可能で適切にLGSを評価する方法は確立していない。本研究では、軽度、中等度、重度のLGSを呈するマウスモデルを確立し、これらを用いてLGSの新規診断指標(試薬K)を確立した。また、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)とクローン病を誘発したマウスでは、発症初期の段階でLGSが生じることが試薬Kによって判明した。特にクローン病の小腸ではLGS状態と炎症の両方に関連する内因性因子の発現が増加しており、LGSがクローン病の発症に関与する可能性が示唆された。
著者
岡本 貴行
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.573, 2014 (Released:2016-07-02)
参考文献数
2

好中球細胞外トラップ(neutrophil extracellular traps:NETs)は2004年にBrinkmannらによって報告された好中球の生体防御反応である.感染により活性化した好中球は,既知の細胞壊死やアポトーシスとは異なる特徴的な細胞死(NETosis)を引き起こし,自身のDNAを細胞外へ放出して,NETsの名の通りネット状の構造を形成する.NETsは,DNAの他にヒストン,好中球エラスターゼ,好中球顆粒内の抗菌物質などを構成成分として含み,貪食とは異なり,細胞外で細菌や病原体を捕捉して殺菌する役割を持つ.また,NETsは異物を捕捉するとともに,白血球,血小板と血管内皮細胞を相互作用させ,微小血栓を形成して異物の排除を行う.近年,このNETsによる異物や細胞の捕捉という概念が各種病態の理解に影響を与えている.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Brinkmann V. et al., Science, 303, 1532-1535 (2004).2) Cools-Lartigue J. et al., J. Clin. Invest., 123, 3446-3458 (2013).