著者
GONZALES Benjamin J. 岡村 収 谷口 順彦
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.7-15, 1996-03-20
参考文献数
19
被引用文献数
4
著者
白井 滋 岡村 収
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.139-150, 1992-09-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
11

ワニグチツノザメの内部形態 (骨格・筋肉系) を詳細に記載した.摂餌機能に関しては, 特殊な顎歯の状態から, 本種は餌を上下の顎で捕捉し, これを丸のみするものと考えられる.内臓弓およびこれに関係する筋肉構造には, こうした摂餌機能の向上に関連すると思われるいくつかの特殊な状態が観察された.これらの特殊な状態は, 同時に本種の系統的位置の解明をはなはだ困難にしている.しかし, 口唇軟骨が2本の離れた要素からなることなど, 本種は3つの派生状態をカラスザメ亜科と共有する.カラスザメ亜科全体との姉妹関係, カラスザメ亜科内に想定されている2っの姉妹群 (カラスザメ属とハシボソカラスザメ属およびAculeola属とカスミザメ属) それぞれとの類縁性について考察した.
著者
尼岡 邦夫 岡村 収 吉野 哲夫
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:18847374)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.259-264, 1992

2種のダルマガレイ科魚類, ミツメダルマガレイ<I>Grammatobothuspolyophthalmus</I>とニテンナガダルマガレイ (新称) <I>Arnoglossustopeinosoma</I>が日本から採集された.<BR>前種は沖縄本島近海で刺網によって捕獲され, 知念魚市場から7個体得られた.本種は体側に3個の明瞭な眼状斑があること, 両眼間隔域は狭くくぼむが, その幅は雌雄で差が無いこと, 背鰭の前10軟条は伸長し, それらの軟条の鰭膜が深く切れ込み翼状を呈することなどによって特徴づけられる.本種には胸鰭の長さ (雄では雌よりも長い) 以外にも, 二次性徴が存在することが判明した.雄では背鰭伸長軟条は雌よりも長く, それらの後縁の鰭膜 (翼) は雌よりも広い.また, 雄には上眼の上方に2個の染色体状の暗色斑紋がある.インド洋からマレイ半島を経てオーストラリアや南シナ海までの分布が知られていた.<BR>後種の5個体は高知人学調査船「豊旗丸」のビームトロールによって土佐湾の水深45-75mから採集された.本種は背鰭と臀鰭の後部の基底にそれぞれ1個の大きな黒色斑があること, 背鰭の前4軟条がよく伸長することなどによって特徴づけられる.本種にも二次性徴が存在し, 雄の背鰭伸長軟条は雌や未成魚よりも長い.本種の分布はペルシャ湾から南シナ海までであった.<BR>今回の両種の記録は分布の北限であり, 日本から初めてである.
著者
岡村 収
出版者
日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4-6, pp.103-111, 1966-07-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
19

本報において日本産タラ目魚類2亜目4科11種の脳形が調査された。その結果, タラ目魚類は独特の脳形をもつこと, および脳形は亜目ならびに科の分類形質として非常に重要であることが判明した。さらに脳形に反映された各科魚類の一般的な習性・行動もあわせて考察された。1. 従来タラ科魚類については指摘されていたように, タラ目魚類の脳では嗅球は常に嗅葉から遊離し, 嗅索によって後者につながる。2. タラ亜目では嗅球は前頭蓋腔内にあり嗅神経によって嗅嚢につながる。また1対の嗅索は左右に巾広く分れておりかつ眼窩には決して入らない。下垂体は扁平で, 腹面観においてシャベル状を呈する。いっぽう, ソコダラ亜目では嗅球は前頭蓋腔を出て鼻窩に入り嗅嚢に密着する。したがって, 嗅球と嗅嚢の間には単一の嗅神経束が認められない。さらに左右の嗅索は互いに上下に重複し, 前方において眼窩に入る。下垂体は塊状で下方に向って突出する。3. サイウオ科では脳全体は円筒形を呈し, 嗅索は短かく, 嗅葉の表面は殆んど円滑で, 小脳体は扁平。下葉, 顆粒突起, 小脳稜および血嚢体はほとんど認められない。延髄は脊髄始部と共に一大肥大部を形成する。チゴダラ科魚類の脳はタラ科魚類のそれによく似ており, 脳全体は側扁し, 嗅索は長く, 嗅葉表面の形は複雑で, 小脳体は大きくて後曲する。下葉, 顆粒突起, 小脳稜および血嚢体はよく発達する。さらに延髄後部はサイウオ類におけるほど肥大しない。ただし, チゴダラ科魚類の脳は端脳が中脳よりもよく発達すること, および各側の嗅索は基部では2叉するが1条からなることなどの点においてタラ科魚類の脳と異なる。ソコダラ科では, 上述した亜目としての形質のほかに, 脳全体がいちじるしく側扁すること, 下葉, 顆粒突起および小脳稜が非常によく発達すること, および各嗅索は基部で2叉するが全体として1条からなることなどが特徴的である。