著者
板谷 徹丸 岡田 利典
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.249-259, 1995-08-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
36
被引用文献数
3 3

カリウム-アルゴン(40K-40Ar)年代測定法が世に登場したのは1955年であった.放射性核種40Kの半減期が約13億年と長いことから,この手法の若い地質時代への適用には微量放射起源アルゴンの定量分析技術に格段の発展が待たれた.しかしながら,その10年後にはすでに第四紀に相当する年代にまで適用された.それは人類考古学の時代領域まで突入するものであったが,1969年に,この手法の伝統的な測定法に致命的とも思われる欠陥が存在することが示された.そのような状況下でも,アルゴン分析技術の進歩とともに,若い地質試料への挑戦が試みられてきている.本小論は,第四紀研究におけるK-Ar年代測定法に焦点をあて,若い地質学試料の代表的年代測定例を紹介し,実際に若い火山岩試料の年代測定を経験してきた過程で,著者らが理解してきた問題点を指摘し,将来どうすれば精度および確度の高い年代測定が可能になるかについての意見を述べている.
著者
沢井 長雄 景山 宗一郎 岡田 利典 板谷 徹丸
出版者
The Society of Resource Geology
雑誌
資源地質 (ISSN:09182454)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.19-27, 2001-05-25 (Released:2009-06-12)
参考文献数
27
被引用文献数
1

A large number of epithermal vein-type gold deposits are distributed in the northern-central Kyushu. K-Ar ages were determined for sericite and K-feldspar separated from hydrothermally-altered rocks and quartz-K-feldspar veins, and for quartz-alunite altered rock, which were collected from gold deposits located outside the Beppu-Shimabara Graben, to examine their age of gold mineralization. The results are 2.61±0.06 and 2.74±0.13 Ma in Ogata, 2.48±0.06 and 2.75±0.06 Ma in Kinsei-Hoshino, 3.55±0.12 Ma in Tamarai, 3.59±0.09 and 3.53±0.10 Ma in Asahi, 2.87±0.23 Ma in Magane, 3.54±0.08 Ma in Usa, 3.92±0.09 Ma in Yamaura and 8.05±0.24 Ma in Bajo.Sericite age of Bajo deposit is 8.05 Ma, which is significantly older than those of other deposits. This is due to that relic muscovite of the host granitic rock mixed into the mineral separates to be dated. Newly and previously obtained K-Ar age data revealed that the gold deposits in outside of the Beppu-Shimabara Graben were formed in a period (1.5 million years) between 3.92 Ma and 2.48 Ma in Pliocene and that the gold mineralization occurred immediately after the end of major volcanic activity. The ages also show that the gold mineralization in Pliocene has close relationship with the volcanism.
著者
板谷 徹丸 兵藤 博信 山本 勲 岡田 利典
出版者
岡山理科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2001

40Ar/39Ar段階加熱年代測定法では同位体比測定時間の短縮が要求されている。本研究では、微小電子増倍管群を質量分析計のイオン検出側に取付け、36Ar,37Ar,38Ar,39Ar,40Arを同時に検出し、定量分析する装置を試作することを目的とする。既存の企業技術を用いた微小電子増倍管群と位置演算装置アセンブリでは実現できなかった。そこで、和歌山工業専門学校の溝川辰巳博士及び東京都立大学城丸春夫博士の研究実績と経験を基に全く新たに製作した。それはバックギャモン法であり、二次元座標系である。大気アルゴン36Ar,38Ar,40Arは同時に検出されたが、多量の40Arの信号のために約1/300の36Arや約1/1600の38Arの定量性に問題があった。しかし二次元座標系で同位体信号分布が見られ、質量分析計のイオン光学系調整に有効であることが分かった。定量分析のために一次元に配列した直線型チャンネルトロンの製作を検討した。(株)デューンの協力でそれを可能にした。我々が実現した二次元系と(株)デューンの一次元系を兼ね備えた小型質量分析計はイオン光学系調整の便利さを実現し高感度なアルゴン定量分析が可能である。独立して行ってきた二つの研究開発型企業と研究機関が協力して全く新しい超小型の高感度高精度質量分析計の共同開発体制が実現した。位置演算装置から取りだすイオン信号にはイオンカウント法を採用するが、そのための回路設計と関連する装置制作とコンピュータープログラムの開発を開始した。コンピュータによる自動制御をするためのインタフェースの製作とコンピュータ自動制御のためのプログラムの開発も開始した。計測・解析を行うコンピューターとイオンカウンティングを行う測定系の間はLANケーブルで結ばれ、制御系のプログラム開発と測定系のインターフェイスは終了した。標準空気や高純度ガスを超低濃度に分割する抽出精製系を製作した。