著者
熊井 明美 岡田 善雄 山口 綾子 伊橋 光二
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.152-154, 1992-03-10

変形性膝関節症は膝周囲に筋硬結を生じている事が多い。19名の変形性膝関節症患者を対象に, 筋硬結に対し, ホットパック, 超音波, マッサージによる3方法の比較実験を行った。効果判定は痛みの強さ, 筋硬結の程度, 歩行スピードの3項目で, 治療前後に評価を行った。その結果を, 痛みの強さと筋硬結の程度はKruskal-Wallis検定を用い, 歩行スピードはt検定を用いて統計処理を行った。痛みは超音波, マッサージの順で改善がみられ, 筋硬結の程度はマッサージ, 超音波の順に改善がみられた。又, 最も客観的な評価である歩行スピードにおいては, マッサージのみに改善がみられた。変形性関節症の治療において, 筋硬結にも目を向ける事が重要であり, その方法として, 直接的機械的刺激である徒手マッサージは有効な方法であると考えられる。
著者
岡田 善雄 末松 安晴 島 康文 浅田 雅洋 荒井 滋久 古屋 一仁 金 在萬 石浦 正寛
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1985

1.HVJの細胞融合活性を担う2種類の糖タンパク質であるFとHANAのcDNAの採取と、全塩基組成の決定が行われた。2.cDNAを含むプラスミドを細胞に注入して、その発現が観察された。先ずSV40oriを含むプラスミドをCOS細胞に電気刺激で注入すると、充分量のF或はHANAの発現を見ることができた。COS細胞はプラスミドの増幅と共に次第に死減するため、一般の細胞を用いると、ほとんど発現が見られず、実験を先に進めることが不可能となった。このため、cDNAをアクチンプロモーターを含むプラスミドに組換え、一般の培養細胞での発現が検定された。現在のところ、確かに発現は見られるが、期待した発現量にいたらず、検討が引き続き行われている段階である。3.HVJによる細胞相互の融合は、1ケのHVJ粒子の外膜が、2ケの細胞膜と同時に融合するために可能になるのではなくて、(1)HVJの糖タンパクによって、細胞膜に障害がおこり、(2)外部のCaイオンが細胞内に流入して細胞膜内タンパク粒子の細胞質側のドメインと、その裏打ち系との結合が解除され、(3)膜内タンパクが細胞膜脂質層を自由に動けるようになり、(4)膜内タンパク粒子の均一な分布がくずれ、(5)裸の脂質層が露出し、(6)その部位で融合がおこることが示された。この現象は、多分生体膜融合の典型的なモデルであろう。4.HVJのFタンパクの活性化のためには、細胞内でF_0型で合成された分子がタンパク分解酵素でF_1とF_2に限定分解される必要がある。この限定分解を認識するアミノ酸配列とウイルスの毒性との相関がパラミクソ群で明らかなので、この知見を土台にして、ミクソウイルス、レトロウイルスの毒性の推定が行われた。