著者
雨宮 智宏 荒井 滋久
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.85, no.6, pp.501-506, 2016-06-10 (Released:2019-09-26)
参考文献数
24

光学迷彩を実現するにあたっては,立体的な構造をもつ3次元メタマテリアルを作ることが必須となる.このような3次元メタマテリアルを簡易に作り上げる手法として,我々は「メタマテリアルを内包した有機薄膜フィルム(Metafilm)」を開発した.Metafilmの特長は,膜厚1µm以下の有機薄膜内にメタマテリアルを実装することで,所望の光学特性(誘電率・透磁率)をもったフィルムを実現できる点にある.本フィルムを重ね合わせることで,光学迷彩に必要な光学特性の3次元分布を,容易に作り出すことが可能となる.また,本稿の後半では,従来型の光学迷彩の枠組みを超える「非対称性」をもった迷彩を作り上げるための理論を述べる.本理論は,「空間の歪(ゆが)み」の代わりに「電磁場下における電子の動き」を介して光の軌道を考えることで,さまざまなタイプの非対称光学迷彩を汎用的に構成可能とする.
著者
土居 恭平 進藤 隆彦 二見 充輝 雨宮 智宏 西山 伸彦 荒井 滋久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. R, 信頼性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.180, pp.41-46, 2012-08-16

我々は、オンチップ光インターコネクション用の光源として半導体薄膜(membrane)DFBレーザを提案してきた。半導体薄膜レーザでは、クラッド層に低屈折材料を用いた強い光閉じ込め効果により極低しきい値での動作が期待されている。これまでに、コア層厚450nm、共振器長300μmの半導体薄膜DFBレーザを試作し、しきい値電流値11mAの室温パルス発振を得た。しかし、室温連続動作には至っておらず、この原因を検討するため熱分布シミュレーションによる熱特性の解析を行った。その結果、試作した構造における熱抵抗値は1100K/Wと見積もられ、室温連続発振が困難であることが明らかとなった。そこで、将来的に極低しきい値動作が期待されるコア層厚150nmを有する半導体薄膜レーザについても同様の理論解析を行った。動作電流1mAにおいて熱抵抗値は7000K/Wと大幅に上昇するが、強い光閉じ込め効果に伴う極低しきい値動作が可能となるため、室温連続動作条件下で10Gbit/sのオンチップ光インターコネクションを行うのに十分な光出力を得られることを示した。
著者
八木 英樹 佐野 琢哉 プルームウォンロート タノーム 三浦 幸治 大平 和哉 丸山 武男 ハク アニスル 荒井 滋久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LQE, レーザ・量子エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.162, pp.1-6, 2004-06-25
参考文献数
20

電子ビーム露光法とCH_4/H_2反応性イオンエッチング、及び有機金属気相成長法による埋め込み再成長を用いることにより、狭細線構造(細線幅:14nm、周期:80nm)を有するGaInAsP/InP歪補償5層量子細線レーザを実現した。自然放出光スペクトルの測定と理論解析との比較により、そのスペクトルが高エネルギー側において量子薄膜レーザよりも急峻に変化するのは、キャリヤの横方向量子閉じ込め効果に起因していることを明らかにした。さらに、量子細線レーザの低しきい値電流動作のために、反射鏡損失の低減に着目して、SiO_2/伴導体反射鏡を有する量子細線レーザを作製した。その結果、同一基板上に作製した量子薄膜レーザよりも低いしきい値電流密度、及び室温基底準位発振を達成した。
著者
八木 英樹 佐野 琢哉 プルームウォンロート タノーム 三浦 幸治 大平 和哉 丸山 武男 ハク アニスル 荒井 滋久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OPE, 光エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.161, pp.1-6, 2004-06-25
参考文献数
20

電子ビーム露光法とCH_4/H_2反応性イオンエッチング、及び有機金属気相成長法による埋め込み再成長を用いることにより、狭細線構造(細線幅:14nm、周期:80nm)を有するGaInAsP/InP歪補償5層量子細線レーザを実現した。自然放出光スペクトルの測定と理論解析との比較により、そのスペクトルが高エネルギー側において量子薄膜レーザよりも急峻に変化するのは、キャリヤの横方向量子閉じ込め効果に起因していることを明らかにした。さらに、量子細線レーザの低しきい値電流動作のために、反射鏡損失の低減に着目して、SiO_2/伴導体反射鏡を有する量子細線レーザを作製した。その結果、同一基板上に作製した量子薄膜レーザよりも低いしきい値電流密度、及び室温基底準位発振を達成した。
著者
岡田 善雄 末松 安晴 島 康文 浅田 雅洋 荒井 滋久 古屋 一仁 金 在萬 石浦 正寛
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1985

1.HVJの細胞融合活性を担う2種類の糖タンパク質であるFとHANAのcDNAの採取と、全塩基組成の決定が行われた。2.cDNAを含むプラスミドを細胞に注入して、その発現が観察された。先ずSV40oriを含むプラスミドをCOS細胞に電気刺激で注入すると、充分量のF或はHANAの発現を見ることができた。COS細胞はプラスミドの増幅と共に次第に死減するため、一般の細胞を用いると、ほとんど発現が見られず、実験を先に進めることが不可能となった。このため、cDNAをアクチンプロモーターを含むプラスミドに組換え、一般の培養細胞での発現が検定された。現在のところ、確かに発現は見られるが、期待した発現量にいたらず、検討が引き続き行われている段階である。3.HVJによる細胞相互の融合は、1ケのHVJ粒子の外膜が、2ケの細胞膜と同時に融合するために可能になるのではなくて、(1)HVJの糖タンパクによって、細胞膜に障害がおこり、(2)外部のCaイオンが細胞内に流入して細胞膜内タンパク粒子の細胞質側のドメインと、その裏打ち系との結合が解除され、(3)膜内タンパクが細胞膜脂質層を自由に動けるようになり、(4)膜内タンパク粒子の均一な分布がくずれ、(5)裸の脂質層が露出し、(6)その部位で融合がおこることが示された。この現象は、多分生体膜融合の典型的なモデルであろう。4.HVJのFタンパクの活性化のためには、細胞内でF_0型で合成された分子がタンパク分解酵素でF_1とF_2に限定分解される必要がある。この限定分解を認識するアミノ酸配列とウイルスの毒性との相関がパラミクソ群で明らかなので、この知見を土台にして、ミクソウイルス、レトロウイルスの毒性の推定が行われた。
著者
内藤 秀幸 阪本 真一 大竹 守 奥村 忠嗣 丸山 武男 西山 伸彦 荒井 滋久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LQE, レーザ・量子エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.125, pp.19-22, 2007-06-22

半導体薄膜導波路構造を用いるDFBレーザは、量子効果による利得増強効果と併せて従来にない極低電力動作、BCB等の屈折率の温度依存性が負となる材料をクラッド層とすることによる発振波長の温度無依存化が期待できる。これまでの作製法で大面積化・再現性が問題となっていた貼り付け法ではなく、薄膜導波路構造下に予め成長した犠牲層の横方向選択エッチングによるエアブリッジ構造を用いて半導体薄膜BH-DFBレーザを試作した結果、光励起下で10℃〜80℃までの連続発振を実現した。最低しきい値励起光強度は20℃で4.3mW、また、レーザの発振波長の励起パワー依存性より見積もった熱抵抗値は11K/mWであった。