著者
住 斉 宇津巻 竜也 伊藤 繁 石浦 正寛 針原 伸二
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.901-909, 2009
参考文献数
20

住は2006年春の定年後は故郷のためになることをしたいと思い,專門の理論物理から離れ,故郷の飛騨で人々のルーツをDNA解析により探る研究を始めた.大学勤務最後の十年間は光合成を研究していた縁で,住物を専門とする宇津巻,伊藤,石浦と連携でぎた.光合成の逆反応は呼吸で,呼吸を司る細胞内小器官ミトコンドリアは独自のDNAを持つ.その解折により,この15年程の間に現代人のルーツが根本的に書き換えられたことにも注且していた.この縁で,針原からDNA解析を教えて貰うことができた.この研究は,日本各地の縄文系対弥生系人口比率の決定につながった.それは太古以来の日本人成立過程を記録していることが明らかになった.
著者
伊藤 繁 三野 広幸 宇津卷 竜也 石浦 正寛
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

クロロフィルdをもつ新発見の光合成生物Acaryochloris marina の光合成系の反応中心複合体及び光捕集系タンパク質の機能と構造その遺伝子をを検討した。クロロフィルd 合成系の原因遺伝子は未特定におわったが、クロロフィルdを使う光合成系の特性を明らかにした。多様な生物の光合成系の比較研究を行い、光合成光反応系の構築原理を検討した。新規の光センサータンパク質についても研究した。
著者
岡田 善雄 末松 安晴 島 康文 浅田 雅洋 荒井 滋久 古屋 一仁 金 在萬 石浦 正寛
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1985

1.HVJの細胞融合活性を担う2種類の糖タンパク質であるFとHANAのcDNAの採取と、全塩基組成の決定が行われた。2.cDNAを含むプラスミドを細胞に注入して、その発現が観察された。先ずSV40oriを含むプラスミドをCOS細胞に電気刺激で注入すると、充分量のF或はHANAの発現を見ることができた。COS細胞はプラスミドの増幅と共に次第に死減するため、一般の細胞を用いると、ほとんど発現が見られず、実験を先に進めることが不可能となった。このため、cDNAをアクチンプロモーターを含むプラスミドに組換え、一般の培養細胞での発現が検定された。現在のところ、確かに発現は見られるが、期待した発現量にいたらず、検討が引き続き行われている段階である。3.HVJによる細胞相互の融合は、1ケのHVJ粒子の外膜が、2ケの細胞膜と同時に融合するために可能になるのではなくて、(1)HVJの糖タンパクによって、細胞膜に障害がおこり、(2)外部のCaイオンが細胞内に流入して細胞膜内タンパク粒子の細胞質側のドメインと、その裏打ち系との結合が解除され、(3)膜内タンパクが細胞膜脂質層を自由に動けるようになり、(4)膜内タンパク粒子の均一な分布がくずれ、(5)裸の脂質層が露出し、(6)その部位で融合がおこることが示された。この現象は、多分生体膜融合の典型的なモデルであろう。4.HVJのFタンパクの活性化のためには、細胞内でF_0型で合成された分子がタンパク分解酵素でF_1とF_2に限定分解される必要がある。この限定分解を認識するアミノ酸配列とウイルスの毒性との相関がパラミクソ群で明らかなので、この知見を土台にして、ミクソウイルス、レトロウイルスの毒性の推定が行われた。