著者
細井 洋子 岡田 正博 濱田 稔夫
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.692-696, 1985

42歳, 女性。合板会社で研磨作業に従事して2週後より, 顔面, 頸部, 前腕に蚤痒を伴う多型紅斑様皮疹を生じ, 漸次, 躯幹, 下肢にも拡大し, 水疱形成も認められた。コルチコイド内服にて皮疹消退後, 標準アレルゲンの職業シリーズおよび接触した木材によるパッチテストを施行し, パープルローズのみに強陽性を示した。パープルローズはボリビアより輸入され, ローズウッドの代用品として使用されており, Machaerium属木材と考えられた。従って, この症例は, パープルローズによるアレルギー性接触皮膚炎と診断され, 感作源はR-3, 4-dimethoxydarbergioneとそのquinolと推測された。
著者
岡田 正博 内田 愼爾
出版者
大阪歯科学会
雑誌
歯科医学 (ISSN:00306150)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.173-188, 1995-06-25 (Released:2017-03-09)
参考文献数
40
被引用文献数
3

咀嚼時に観察される開口筋の開口動作に先行する筋活動の動作学的な意義を明らかにするため, 咀嚼に比べ比較的単純で再現性に優れたopen-close-clench cycle (OCC運動)を被験運動とし, 開閉口運動速度, 咬みしめ力, 運動の繰り返しの有無, 歯の接触の有無, 歯根膜感覚の有無などの条件が外側翼突筋下頭(Lpt), 顎二腹筋前腹(Dig)の onsetに及ぼす影響について観察した. 有歯顎者のOCC運動では, Lpt, Digともに開口開始に先行する筋活動がみられ, それぞれの筋の onsetは, 開閉口相時間, 咬合相時間の変化によっては有意な変動を示さなかったものの, 咬みしめ力に対応する咬筋(Mm)平均筋活動量の変化によって有意に変動し, Mmの活動量が大きくなると開口筋 onsetはより先行する傾向を示した. 最大開口速度の変化は開口前の筋活動量に影響を及ぼした. 咬合相におけるMmの平均筋活動量が増すと, 開口筋の開口前に認められる筋活動が大きくなる傾向を示した. 開口筋の先行活動は, OCC運動のような繰り返し運動のみならず, 一度だけの咬みしめ後開口においても認められた. 歯を接触させない開閉口運動では, Lpt, Digともに開口に先行した活動が認められず, cycle timeの変化によってもOTは影響されなかった. 総義歯患者におけるOCC運動では, LptおよびDigの onsetが, 開口開始より先行したが, Mmの平均筋活動量の変化によって onsetは有意な変動を示さなかった. 以上の結果より, 開口筋 onsetの開口開始からの先行は, 下顎を開口方向に向けるための準備的活動であることが示唆され, これらは開口筋としての動作的特徴であることが示された. また, 開口筋 onsetを変化させる重要な要因は咬みしめ力であることが明らかとなったが, 総義歯患者では, 開口筋 onsetの調節性が有歯顎者に比較するとやや劣る傾向が示された.