著者
藤井 達哉 岡野 圭吾 谷口 守
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.29-37, 2019 (Released:2019-01-20)
参考文献数
23
被引用文献数
1

我が国では,地方部から東京都への人口一極集中が続いており,地方部の衰退や我が国の人口減少を加速させる要因の1つであると指摘されている.この人口一極集中は,主に大学への進学と就職時に発生しており,その両方に関わる大学の存在は人口移動の施策で重要視されてきた.本調査報告では,大学への進学時と大学生の就職時の地元定着の現状を個々の大学に着目して分析している.分析の結果,1) 大学への進学から就職の間における人口流出入は,その閉鎖性や規模感も含めて地方毎に違いがあることが明らかとなった.2) また,東京都に立地する大学は多くの大学が人口流入に寄与しており,現在行われている施策のみでは,東京都への人口一極集中を抑制することが困難である可能性が示された.
著者
清水 宏樹 伊藤 将希 岡野 圭吾 谷口 守
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.553-560, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
37
被引用文献数
1

近年,我が国では人口減少・少子高齢化社会の進行に伴って空き家問題や財政悪化などの新たな都市問題が進行している.このような都市問題は実際,各自治体の枠を超えた広域的な問題であるが,問題進行の程度には地域差があり,広域的な連携による問題対応の足並みは揃わない.本研究ではこうした問題進行の地域差を明らかにするため,大都市雇用圏に着目して人口減少・少子高齢化社会の都市問題の進行実態と近年の傾向を把握した.その結果,対象とした都市問題の進行はどの自治体も順次悪化が進むカスケード化の様相を呈しており,圏域内で特定の小自治体が一人勝ちとなる傾向も明らかとなった.
著者
片山 茜 菊池 雅彦 岡野 圭吾 谷口 守
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.370-376, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
19

2000年代から「目標管理型事後評価システム」が日本の公共部門に導入された。ここには都市計画分野も含まれている。この評価システムは短期的なものであるが、他分野の研究では、この評価システムの長期的な問題を示しているものもある。本研究では、都市計画分野における目標管理型事後評価システムの問題を明らかにするために、過去の評価を題材として、長期的な観点から再評価することにより問題を検討する。そこで、ケーススタディとしてまちづくり交付金の過去の評価を用いて、長期的な観点から評価指標の計測を実施した。その結果、長期的な評価の結果は短期的な評価システムと同様の傾向を示さず、長期的な計画マネジメントが必要であることを明らかにした。