著者
村上 真也 岩山 隆寛
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集
巻号頁・発行日
vol.59, pp.206-206, 2010

2次元乱流は多数の渦の運動とみなせるため, 個々の渦の動力学を調べることが2次元乱流のよりよい理解の助けになるだろう. そのような問題意識の下, Melander, et al.(1987)は非一様な渦度分布を持つ楕円渦の軸対称化過程を研究した. 楕円渦はその軸対称化過程において, フィラメントを放出することが知られている.Melanderらはフィラメントが誘起する速度場が楕円形をした等渦度線を軸対称化させるか否かについて, 定性的見積りを行った. 我々はこれを数値的に調べ, フィラメントが楕円渦の軸対称化に与える効果を議論した.その結果, フィラメントは初期には大きく軸対称化に寄与し, のちの時刻ではほとんど影響を与えないことが分かった. これはMelanderらの定性的議論と整合的である.一方, コアによって誘起される速度場は軸対称化と反軸対称化の両方に振動的に寄与することが分かった.
著者
山中 大学 荻野 慎也 森 修一 はしもと じょーじ 岩山 隆寛
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

インドネシア「海大陸」域における観測的研究から,既知の海陸風など局地的な循環とも全球規模の大気潮汐とも異なる1000kmスケールの大規模な組織的日変化を見出した.類似のものは,チベット・ヒマラヤ域や北米大陸上にもほぼ同時に見つかっている.また,地球型惑星(金星・地球・火星)における日変化の出現の様相は様々である.このような大気中の日周期変動の形成メカニズムを大気力学・雲物理学の一般理論に基いて検討・解明するとともに,季節内・季節(年周期)・経年変動に及ぼす影響や,一般に地球型惑星大気の振舞を決めるにおいて自転や公転などが果たす役割を考えるため,観測データ解析と理論・モデリングの双方から研究を進めた.海大陸域においては,これまでの海陸風理論で取り扱われた晴天日あるいは乾季におけるものよりもむしろ顕著な,雨季における日変化について新たな仮説が得られた.日変化により午後〜夜間に発生する活発な対流性降水雲と降水により,翌朝までに大気はリセットされ(熱的不安定成層は解消して大気透明度も上がり),翌日正午前に最大限の(太陽定数に近い)日射陸面加熱が直後の午後に再び活発な対流雲を発生させる.日変化の生じ方の季節内・季節・経年変動に伴う差異,数1000kmにわたる組織的な日周期強制や領域により異なる日周期の強制があるときの全球大気のレスポンス,海大陸域とその東西の大洋(太平洋・印度洋)上とでの日変化の違いによる季節内変動の励起や変質・減衰,さらに他の地球型惑星(金星・火星)まで含めた日射不均一が起こす大気運動(水平対流)の一般論とその物質輸送や気候維持・変動への意義,太陽系内には存在しないが他の惑星系でなら存在する可能性があるようなケース,などについても考察を行なった.