著者
伊藤 千春 岩崎 靖 高橋 俊彦
出版者
公益財団法人 パブリックヘルスリサーチセンター
雑誌
ストレス科学研究 (ISSN:13419986)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.29-37, 2019 (Released:2020-03-25)
参考文献数
47

This study compared behavioral characteristics and job stressors of operators and managers of small and medium-sized enterprises (SMEs), examining the causal relations with factors contributing to mental illness. An anonymous web questionnaire survey was implemented targeting 600 individuals including presidents, directors, and individuals above the position of section chiefs of SMEs. Of them, 370 individuals were targeted for analysis, including 143 male presidents with less than 50 employees under them, 140 male managers, and 87 female managers. The covariance structure analysis results revealed that “malfunctional coping” in male presidents and managers had a positive influence on “job stressors,” and job stressors have a positive correlation with “mental illness.” However, for female managers, the path coefficient for “job stressors” with “malfunctional coping” was not significant and was not positively correlated with mental illness.Thus, male presidents and managers did not seek support from or appeal to others, or tried to do their best without complaining, which heightened job stressors and strengthened vulnerability to mental illness. However, female managers’ coping without seeking support or appealing to others had no influence on job stressors and did not cause any indirect vulnerability to mental illness.
著者
岩崎 靖士 山田 暢 小熊 潤也 岡本 譲二 清水 壮一 高橋 伸
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.1181-1185, 2011-05-25
参考文献数
11
被引用文献数
1

症例は60歳,男性.左下腹部痛を主訴に当院受診した.腹部超音波検査および腹部CTにて左下腹部直下にS状結腸に接する4cm大の腫瘤影を認め,腹膜垂炎の所見と診断した.保存的に経過を観察したが,疼痛が持続したために腹膜垂切除目的に入院し,腹腔鏡補助下にS状結腸腹膜垂切除術を施行した.手術所見では,S状結腸部の腹膜垂が腹壁と炎症性に癒着しており,鏡視下にこれを剥離し,小開腹創より体外に誘導すると,炎症性に腫大した2cm大の腹膜垂を認めた.同部を結紮切離し,腹膜垂を摘出した.病理組織学的所見にてうっ血,炎症細胞浸潤,脂肪壊死を認め,腹膜垂炎と診断した.腹膜垂炎はまれな疾患で,大腸憩室炎との鑑別が重要となるが,近年の画像診断技術の発達により,CTや超音波による腹膜垂炎に特徴的な所見がえられるようになってきた.今回,術前診断が可能で,腹腔鏡を用いて治療しえたS状結腸腹膜垂炎を経験したので報告する.
著者
森 恵子 岩崎 靖 伊藤 益美 三室 マヤ 吉田 眞理
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.405-410, 2012 (Released:2012-06-26)
参考文献数
15
被引用文献数
2 7

症例は死亡時86歳の男性である.進行性の歩行障害,筋強剛,認知症を呈した.静止時振戦,L-dopaの反応性,自律神経障害はなかったが,MIBG心筋シンチグラフィーの集積低下をみとめ,Lewy小体型認知症と臨床診断された.死亡後の病理診断は大脳皮質基底核変性症であった.全身病理では心臓交感神経終末が高度に脱落しており,MIBGの集積低下を反映していた.さらに中枢神経,消化管,副腎等にはみられなかったLewy小体が交感神経節に限局してみとめられた.MIBGの集積低下はLewy小体の存在を示唆するが,その広がりまでは予見できず,また偶発的にLewy小体が合併する事を臨床診断の際には考慮する必要がある.
著者
岩崎 靖士 佐藤 知美 清水 壮一 中村 修三 高橋 伸
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.1951-1954, 2008 (Released:2009-02-05)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

症例は34歳,男性.黒色便,眩暈を主訴に当院受診した.採血上貧血を認め,緊急上部消化管内視鏡検査を施行したところ,ファーター乳頭の口側2cmの十二指腸下行脚に約2cmの潰瘍を有する隆起性病変を認め同部より出血をきたしていた.内視鏡的に止血できず,受診後2日目に腫瘍核出術を行い止血しえた.病理組織学的所見で十二指腸粘膜下にHeinrichI型の十二指腸異所性膵を認めた.潰瘍底には小動脈および拡張した毛細血管が認められた.十二指腸粘膜下腫瘍からの出血に対して保存的治療で止血しえない症例では外科的治療を行う必要があると考えられた.異所性膵は一般に無症状に経過することが多く,手術摘出標本や剖検時に指摘されるものがほとんどである.今回,十二指腸異所性膵により出血をきたした稀な症例を経験したため報告する.