著者
山口 二郎 宮本 太郎 遠藤 乾 空井 護 高橋 伸彰 村上 信一郎 齋藤 純一 杉田 敦 中北 浩爾 小川 有美 小原 隆治 遠藤 誠治 野田 昌吾 宇野 重規 田村 哲樹 宇野 重規 田村 哲樹
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2007

本研究はグローバル化した金融資本主義の矛盾が明らかになる一方、民主政治による政策決定が円滑に進まないという困難な状況において、民主政治をどう再生させるかという問いに取り組んだ。基礎的な再分配政策に加えて、雇用、生活支援などのサービスを市民社会の自発性を引き出す形で展開することで、新たな福祉国家モデルを追求するというのが21世紀的な危機に対する処方箋となることを明らかにした。
著者
高田 崚介 林 威 安藤 宗孝 志築 文太郎 高橋 伸
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2016-HCI-169, no.10, pp.1-7, 2016-08-22

防水機能を有するタッチパネル端末 (以下,防水端末) において,画面タッチ時の圧力を取得する手法を示す.本手法は気密性を有する防水端末にタッチした際に端末内部の気圧が上昇し,端末に内蔵された気圧センサの出力値が変化する現象を利用する.同じ圧力にてタッチした際の防水端末の気圧の変化量は,タッチ位置によって異なる.我々は実験により,タッチ位置ごとの気圧の変化量,ならびにタッチ圧力と気圧の変化量の関係を調査した.本稿にてその調査結果および考察を示す.
著者
小野田 竜一 高橋 伸幸
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.65-74, 2013

When people behave more cooperatively toward in-group members than to out-group members, we call it "in-group favoring behavior." However, previous studies have not yet provided a satisfactory explanation for why in-group favoritism can be adaptive. In the current study, we conducted a series of simulations to explain such behaviors from an evolutionary perspective. We used the giving game and constructed a society composed of two groups, A and B. In the game, every player was given a fixed amount of resources and decided how much and to whom he gave. The results showed that the in-group favoring strategy is adaptive only when it has a strict criterion for recipients (not giving any resources to players who had helped other players who did not adopt the in-group favoring strategy). Furthermore, they showed that there were other strategies which have a strict criterion for recipients that could be adaptive as well. These findings suggest that strategies which form a circle of exchange only among themselves by excluding other strategies can be adaptive.
著者
高橋 伸夫
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0200515a, (Released:2020-05-30)
参考文献数
92

1990年代以降、日本でも経営・組織のシミュレーション研究が行われるようになってきた。本稿は、研究者間の関係も重ね合わせて、1990年代以降の日本の経営・組織のシミュレーション研究をレビューする。世界の研究の潮流は、シミュレーションの結果だけを、多くはメタファーとして引用するというものである。しかし、日本の一連の研究は、それとは異なる次のようなユニークな研究群である:(1) 既存モデルを批判的に検証した上で、(2) 自分でもシミュレーションを実施し、(3) シミュレーションの結果が実際に存在するのか現実の調査データで検証する。こうした研究がシミュレーション研究の可能性を切り開く。
著者
高橋 伸夫
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.9-40, 2004-01-25 (Released:2018-03-18)
参考文献数
18
被引用文献数
1

経営分野の若手研究者・大学院生を念頭に、英文論文を執筆するというプロセスを通して、研究の進め方、論文の書き方、さらには学界事情など、研究者の世界について解説する。
著者
高岸 治人 高橋 伸幸 山岸 俊男
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.159-166, 2009 (Released:2009-03-26)
参考文献数
32

人々は,不公正な状況(e.g.資源の不公平な分配)に直面した際に,多くの場合,その不公正を是正しようとする傾向を持つ。これまでの最後通告ゲームでの実験によって,行為者の不公正な意図が,不公正の被害者による不公正是正行動に重要な役割を果たしていることが示されてきた。本研究では,同じ研究方法を用いて,第3者が行う不公正是正行動においても,行為者の不公正な意図が重要な役割を果たしているかどうかを実験によって検証した。実験の結果,意図の効果は見られたものの,意図がない状況でも,多くの参加者が不公正是正行動をとることが示された。これらの結果は,相手に意図がない状況で不公平な結果を改善したいという動機が,被害者の立場よりも第3者の立場で強く生じていることを示している。
著者
神谷 知至 本田 孝也 鈴木 修 桐生 恭好 高橋 伸 角本 陽一郎
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.759-765, 1985-06-25 (Released:2009-07-09)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

慢性甲状腺炎・慢性膵炎を合併した原発性胆汁性肝硬変(PBC)の男性症例を報告する.症例は66歳男性,全身倦怠感と肝腫大あるため入院となった.検査成績で血清Al-P値が28.5K-Auと高く,軽度の肝機能障害も示した.血清抗ミトコンドリア抗体および抗甲状腺抗体は陽性であった.免疫二重拡散法にて抗ミトコンドリア抗体のCおよびDが確認されたが,特にDの検出は本邦で初例である.甲状腺生検は慢性甲状腺炎像を呈し,肝楔状生検像は典型的な慢性非化膿性破壊性胆管炎を示した.膵機能は中等度に障害され,ブドウ糖負荷試験は糖尿病型であった.Sicca症候群も後に出現した.結局本症例を慢性甲状腺炎・慢性膵炎・sicca症候群を合併したPBCと診断した.多臓器障害を強く示唆し,しかも今までにほとんど検出されたことがない抗ミトコンドリア抗体Cおよび特にDが認められた男性のPBC例を報告した.
著者
高橋 伸幸 長谷川 裕彦
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.161-171, 2003-03-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
22
被引用文献数
2 1

北アルプス南部に位置する常念乗越(鞍部)の標高2465m地点において1997年10月~1998年10月の期間で気温観測を行った.その結果,年平均気温は3.9°Cであったが,アメダスデータとの対応で推定される平年値は2.7°Cとなる.また,温量指数の平年値(27.2°C・月)は,常念乗越が亜高山帯に位置付けられることを示しており,温量指数15°C・月により推定される森林限界高度は標高2833mとなる.しかし,実際には西寄りの冬季卓越風により森林の成立が阻まれ,常念乗越頂部から西向き斜面の風衝地を中心に周氷河環境が出現している.年間の凍結・融解出現日数は,72日に及んだ.この値は高山帯周氷河地域における凍結・融解出現日数を凌ぐものである.常念乗越における凍結・融解の出現時期は10~4月であり,3~6月と9~11月に出現時期が二分される高山帯周氷河地域とは明らかに異なる.
著者
舘石 和香葉 小野田 竜一 高橋 伸幸
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.96-103, 2021-03-31 (Released:2021-03-31)
参考文献数
14

Whether engaging in costly punishment can be an adaptive strategy by enhancing the punisher’s reputation is a crucial question in efforts to explain punishment behaviors. However, empirical findings on this question are mixed. Based on Raihani and Bshary’s (2015) argument, the current study empirically examined the possibility that how a punisher’s motives are estimated affects the reputation of the punisher. We employed a vignette experiment which was designed to make it simple for respondents to estimate each punisher’s motives. Each vignette described a defector in a social dilemma and a punisher who punished the defector using one of four types of punishment. Respondents then estimated the punisher’s motives and evaluated their impressions. The results revealed that the estimated motives depended on the type of punishment which the punishers utilized and that evaluations of punishers varied across the four types of punishment. Thus, the context in which punishment is employed may affect a punisher’s reputation, and this in turn might ultimately determine whether engaging in punishment is adaptive.
著者
高橋 伸夫
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.2, no.6, pp.247-278, 2003-06-25 (Released:2018-03-19)
参考文献数
39
被引用文献数
3

ぬるま湯的体質の研究が出来るまでの過程を学会や周囲の反応などの裏話も含めて整理する。当初は論文や本にすることを意識していなかったが、学会などで叩かれたことで逆に発奮し、10年以上にわたって継続的に調査研究を続けることになった。その結果、思いもかけない事実や現象もとらえられることになる。
著者
真島 理恵 高橋 伸幸
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.436-444, 2005-12-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
24
被引用文献数
6 2 3

Although there have been a number of studies that theoretically and empirically examined altruism based on direct reciprocity, few have been conducted on how altruism based on indirect reciprocity emerges. Recent advances in biological research, however, have suggested possible answers to the question. For instance, Nowak and Sigmund (1998a, b) proposed that what they called image scoring strategy made indirect reciprocity possible. After critically examining their work, Leimar and Hammerstein (2001) pointed out several limitations to the theory, and instead proposed standing strategy as an explanation. Although careful attempts to replicate the findings by them and Panchanathan and Boyd (2003) supported the arguments against image scoring, we reveal that standing strategy was not a satisfactory answer either. Based on a series of evolutionary simulations, we propose a new strategy, which we call strict discriminator, as an alternative. Strict discriminators are discriminating altruists, similar to the altruists with image scoring or standing strategy, but they are different in that its criterion for discrimination is stricter: unconditional altruists are excluded from their reciprocity.
著者
石川 直将 高橋 伸佳 河村 満 塩田 純一 荒木 重夫
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.232-237, 2008-08-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
15

Marchiafava-Bignami病 (以下, MBD) 自験8症例において, 急性期および慢性期の症候と病巣について検討した.8例中6例は意識障害にて発症し, 慢性期に構音障害と半球離断症候を呈し, 画像検査にて脳梁に限局した病変を認めた.これらは従来報告されているMBDの臨床像と一致していた.一方, 発症時に意識障害を呈さない例が2例みられた.これは, 発症時の意識障害の存在が必ずしもMBDの診断に必須ではないことを示している.また, 2例では肢位の異常, 固縮などの錐体外路症状がみられ, そのうちの1例ではMRIで両側の被殻に病変が認められた.同様の症例の報告は過去に4例のみであるが, この症候もMBDの症候の1つとして注目される.慢性期には意識障害, 前頭葉症状は消失するが, 錐体路症状が構音障害, 半球間離断症候とともに長期にわたり持続することが示された.以上から, MBDの臨床像は急性期, 慢性期ともに従来考えられていたよりも多彩である可能性がある.従って, アルコール多飲者が急性の構音障害, 歩行障害, 痙攣などを呈し, 局所徴候が明らかでない場合には, MBDの可能性も考え, 画像検査で脳梁病変の有無を確認する必要があると思われた.
著者
真島 理恵 高橋 伸幸
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.177-195, 2005 (Released:2007-07-06)
参考文献数
20
被引用文献数
6

近年、直接互恵性に基づかない利他行動の適応的基盤として、間接互恵性の成立を検討する理論研究が急速に展開している (e.g., Nowak & Sigmund, 1998a, b)。最新の知見である真島・高橋 (in press) は、間接互恵性を成立させる唯一の解決策として、SDISC戦略を提唱している。本研究の理論パートでは、これまでの間接互恵性研究で想定されてきたランダムマッチング状況の概念的問題点を指摘し、より適切な状況と考えられる選択的プレイ状況下で、真島・高橋 (in press) の結論を再検討する進化的シミュレーションを行った。その結果、選択的プレイ状況における間接互恵性の解決策として、SDISCに加え、より概念的に妥当な戦略であるExtra Standing戦略が新たな解決策として示された。また本研究の実証パートでは、理論パートの結果から示された間接互恵性を成立させる選別戦略を実際に人間が採用しているかどうかを検討する質問紙実験の結果を報告する。結果は、間接互恵性の状況において参加者が、(1) Goodへの提供者をGoodとみなし、(2) Badへの提供者をBadとみなし、(3) Goodへの非提供者をBadとみなす、という、理論研究の結論と一貫する評価パターンを備えていたことを示すものであった。
著者
高橋 伸夫
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.15, no.11, pp.539-546, 2016-11-25 (Released:2017-02-25)
参考文献数
2

経営学の論文では「統計的に有意」によく出くわす。標本調査は全数調査と比べて安く実施できるが、どうしても標本抽出に伴う標本誤差が生じてしまう。しかし標本抽出を「くじ引き」にすれば、その標本誤差も確率を使って評価できる。それが有意確率で、実は仮説からの乖離が標本誤差の範囲を超えていますよ (=標本誤差では片づけられないですよ) という意味で「統計的に有意」だったのである。
著者
山岸 俊男 山岸 みどり 高橋 伸幸 林 直保子 渡部 幹
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.23-34, 1995-07-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
24
被引用文献数
10 12

人間性の善良さに対する信念として定義される, 他者一般に対する信頼である一般的信頼と, コミットメント関係にある特定の相手が, その関係の中で自分に対して不利な行動を取らないだろうという期待として定義される個別的信頼との間で, 理論的区別が行われた。社会的不確実性に直面した場合, 一般的信頼が低い人々は, そこでの不確実性を低減するためにコミットメント関係を形成する傾向が強いだろうという理論に基づき, 売手と買手との関係をシミュレートした実験を行った。実験の結果, 社会的不確実性と被験者の一般的信頼の水準が (a) 特定の売手と買手との間のコミットメント形成および (b) 個別的信頼に対して持つ効果についての, 以下の仮説が支持された。第1に, 社会的不確実性はコミットメント形成を促進した。第2に, コミットメント形成はパートナー間の個別的信頼を促進した。第3に, 上の2つの結果として, 社会的不確実性は集団内での個別的信頼の全体的水準を高める効果を持った。第4に, 人間性の善良さに対する信念として定義される一般的信頼は, コミットメント形成を妨げる効果を持った。ただし, 第2と第4の結果から予測される第5の仮説は支持されなかった。すなわち, 一般的信頼は個別的信頼を押し下げる効果は持たなかった。
著者
山岸 俊男 渡部 幹 林 直保子 高橋 伸幸 山岸 みどり
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.206-216, 1996-03-30 (Released:2016-12-04)
被引用文献数
2

An experiment was conducted to test three hypotheses concerning effects of social uncertainty and general trust on commitment formation, hypotheses derived from Yamagishi & Yamagishi's (1994) theory of trust. First two hypotheses were supported, while the last one was not. First, increasing social uncertainty facilitated commitment formation. Second, low general trusters formed mutually committed relations more often than did high trusters. Finally, the prediction that the effect of general trust on commitment formation would be stronger in the high uncertainty condition than in the low uncertainty condition was not supported. Theoretical implications of these findings for the theory of trust advanced by Yamagishi and his associates are discussed.
著者
高橋 伸幸 山岸 俊男
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.1-11, 1996-06-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
35
被引用文献数
5 7

本研究は, 利他的行動が特定の社会関係の中で果たす役割についての一連のコンピュータ・シミュレーションによる分析を通して, 特定の社会的状況のもとでは, 利他的に行動することが本人にとって有利な結果をもたらす可能性のあることを明らかにしている。本研究での分析の対象となっている利他的行動は, 集団内で成員が他の特定の成員に対して純粋に利他的に振る舞うかどうかを決定する (個人対集団場面ではなく, 個人対個人の関係) 状況での利他的行動である。このような状況での利他的行動が行為者本人にとって有利な結果をもたらす条件として本研究で明らかにされたのは, 集団の全員が下方OFT戦略を用いており, しかも下方OFT戦略の適用に際して「ほどよい」基準を用いている場合である。具体的には, 集団成員が利他的に行動する相手を選択するに際して, その相手が過去に少なくとも自分と同じくらい利他的に振る舞ってきた人間であるかどうかを決定基準として用いている場合には, より多くの他者に対して利他的に振る舞う方が成員の方がそうでない成員よりも, 結局はより大きな利益を得ることができることが, コンピュータ・シミュレーションを用いた分析により明らかにされた。