- 著者
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田中 愛子
岩本 晋
- 出版者
- 山口県立大学
- 雑誌
- 山口県立大学看護学部紀要 (ISSN:13430904)
- 巻号頁・発行日
- vol.2, pp.31-47, 1998-03
- 被引用文献数
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Y看護学院保健婦科の学生に死生観に関する質問紙を作成してもらい,それを用いてY看護学院の学生全員(n=296)を対象に調査を行った。作成された質問紙と調査結果は以下の事を示している。1)死生観の質問項目は,「自分の死」「家族・身近な人の死」「死の教育」「生について」「臨床実習と生と死」の5つの視点があった。2)調査を実施する際のインフォームド・コンセントでは,死生観と看護を関連づけて,調査の意図が説明されていた。3)調査した結果は次のとおりである。97.6%の学生が死について考えたことがあり,81.3%が身近な人との死別体験を持っていた。またこの体験や死についての学習は,生や死について考えるきっかけになったと答えていた。脳死は人の死であるかや,人工呼吸機での延命についての考えは,「よくわからない」という答えが多かったが,生命の誕生については94.2%が尊いものであるととらえている。今回紹介した質問項目の範囲においては,死の学習やターミナルステージにある患者との関わりなどの具体的な経験を尋ねる項目では学年や教育課程で相違が見られたが,その他の殆どの質問項目において学年や教育課程による特徴の差は見られなかった。