著者
清水 浩 小林 和生 岩田 博夫 雨宮 浩 阿久津 哲造
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR ARTIFICIAL ORGANS
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.203-208, 1991

ハイブリッド型人工膵臓では、ラ島は血管系から切り放されさらに半透膜で被われている。このためハイブリッド型人工膵臓の血糖値変化に応答したインスリン分泌は、当然自然の膵臓からのインスリン分泌とは異なるであろう。本研究では、ハイブリッド人工膵臓の形状、半透膜の膜厚や膜中の高分子濃度等がインスリン分泌に与える影響を、実験と理論の両面から検討を加えた。よく実験値を再現できる数式モデルを組み立てることができた。数式モデルによる解析より、インスリン分泌の動特性に与える影響は、ハイブリッド型人工膵臓の形状よりはラ島を包むハイドロゲル膜の膜厚が大きな影響を与えることがわかった。本研究により、ハイブリッド型人工膵臓作製のための、基礎データを得る膜透過試験評価システムまたインスリン分泌の数式モデルを構築でき、これらは今後新規な封入材料を選定したり、新たなシステムを作製する有効な手段になり得ると考えられる。
著者
岩田 博夫 雨宮 浩 阿久津 哲造
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.1324-1327, 1989

直径約10mm、厚さ1-2mm程度のハイドロゲルにラ島を封入したゲルタブレットタイプのハイブリッド型人工膵臓を試作した。ゲルタブレット作製には光架橋性ポリビニルアルコール(PVA-SbQ)を用いた。PVA-SbQ水溶液とラ島の混合液に光照射することで、ラ島封入ゲルタブレットを作製した。ゲルタブレット内に封入されたラ島をin vitroで長期間培養したところ、ラ島は本来の球形の形態を保持し続け、さらに培養開始から20日すぎまではインスリン分泌量は急速に低下したが、その後はほぼ一定のインスリン分泌量を示した。さらにゲルタブレットタイプは、たとえゲルの一部が破損したとしても影響を受けるラ島は少なく、移植部位から比較的簡単に取り出せ、さらに厚さを薄くすることで、グルコース濃度変化に素早く応答してインスリンを分泌できる等々の利点があり、今後ハイブリッド型人工膵臓として有望なタイプであると考える。
著者
岩田 博夫 加藤 功一 笹井 芳樹 滝 和郎
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

胚性幹細胞(ES細胞)からのインスリン産生細胞の分化誘導:マウスまたカニクイザルのES細胞から米国NIHのMcKayらの報告した分化誘導法を基本に研究を進めてきた。インスリン陽性細胞には2種類のタイプが存在し、一つはインスリン染色で細胞全体が強く染色される小さな細胞、他はインスリン染色で細胞質のみ染色される比較的大きな細胞であった。また、サブカルチャーを行っても常にインスリンの免疫染色が陽性になる細胞が存在した。さほど高効率ではないが、間違いなくインスリン産生細胞へと分化誘導できていると考えている。高効率にインスリン分泌細胞を分化誘導するために、Tet systemを利用してカニクイザルサルES細胞内でPDX-1遺伝子発現を制御することによりインスリン分泌細胞へと分化誘導する方系を作成した。ES細胞からのドーパミン産生細胞の分化誘導:PA6細胞のConditioned Medium中の成分とポリイオンコンプレックス形成法を用いて表面を試作し、この表面上でES細胞をドーパミン産生細胞へと分化誘導した。また、PA6細胞のConditioned Mediumを用いてES細胞を浮遊培養しドーパミン分泌細胞への分化誘導を行った。培養30日後においてもドーパミンの検出ができた。中空糸内にカニクイザルES細胞を封入した後、PA6細胞の順化培地中で培養を行ったところ、効率よく神経細胞へと分化した。免疫隔離膜:PEG脂質を用いて細胞表面を細胞に障害を与えることなく極めて薄い層で覆うことができた。カプセル化による体積増加が極めて小さい生細胞マイクロカプセル化法として極めて有力であると考える。ヒトES細胞:ヒトES細胞使用許可の取得が諸般の事情で遅れ、平成18年3月10日付けでヒトES使用計画の大臣確認書が交付された。このため大部分の仕事はマウスES細胞とカニクイザルのES細胞を用いて研究を行った。
著者
岩田 博夫 雨宮 浩 阿久津 哲造
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.1324-1327, 1989-06-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
5

直径約10mm、厚さ1-2mm程度のハイドロゲルにラ島を封入したゲルタブレットタイプのハイブリッド型人工膵臓を試作した。ゲルタブレット作製には光架橋性ポリビニルアルコール(PVA-SbQ)を用いた。PVA-SbQ水溶液とラ島の混合液に光照射することで、ラ島封入ゲルタブレットを作製した。ゲルタブレット内に封入されたラ島をin vitroで長期間培養したところ、ラ島は本来の球形の形態を保持し続け、さらに培養開始から20日すぎまではインスリン分泌量は急速に低下したが、その後はほぼ一定のインスリン分泌量を示した。さらにゲルタブレットタイプは、たとえゲルの一部が破損したとしても影響を受けるラ島は少なく、移植部位から比較的簡単に取り出せ、さらに厚さを薄くすることで、グルコース濃度変化に素早く応答してインスリンを分泌できる等々の利点があり、今後ハイブリッド型人工膵臓として有望なタイプであると考える。
著者
清水 浩 小林 和生 岩田 博夫 雨宮 浩 阿久津 哲造
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.203-208, 1991-02-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
5
被引用文献数
1

ハイブリッド型人工膵臓では、ラ島は血管系から切り放されさらに半透膜で被われている。このためハイブリッド型人工膵臓の血糖値変化に応答したインスリン分泌は、当然自然の膵臓からのインスリン分泌とは異なるであろう。本研究では、ハイブリッド人工膵臓の形状、半透膜の膜厚や膜中の高分子濃度等がインスリン分泌に与える影響を、実験と理論の両面から検討を加えた。よく実験値を再現できる数式モデルを組み立てることができた。数式モデルによる解析より、インスリン分泌の動特性に与える影響は、ハイブリッド型人工膵臓の形状よりはラ島を包むハイドロゲル膜の膜厚が大きな影響を与えることがわかった。本研究により、ハイブリッド型人工膵臓作製のための、基礎データを得る膜透過試験評価システムまたインスリン分泌の数式モデルを構築でき、これらは今後新規な封入材料を選定したり、新たなシステムを作製する有効な手段になり得ると考えられる。
著者
岩田 博夫
出版者
社団法人 繊維学会
雑誌
繊維学会誌 (ISSN:00379875)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.P_87-P_87, 2008 (Released:2008-04-10)