著者
萩原 恒夫 山浦 道雄 岩田 薫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1989, no.10, pp.1791-1801, 1989
被引用文献数
1 4

アニリン(A),ジフェニルアミン(DPA),N-フェニル-P-フェニレソジアミン(PPD),N,N'-ジフェニル-P-フェニレンジアミン(DPPD),N-イソプロピル-N'-フェニル-P-フェニレンジアミン(PrPPD)およびN,N'-ジフェニルベンジジン(DPBz)を含む各種芳香族アミンの化学酸化重合,重合体の構造および導電性について検討した。2mol・dm<SUP>-3</SUP>塩酸中,ペルオキソニ硫酸アンモニウムを用いて化学酸化重合して得られた重合体は,A,PPD,DPPDおよびPrPPDから得られた重合体(タイプII)と,DPAおよびDPBzから得られた重合体(タイプII)の二つのタイプに分類された。前者は比較的高い電気伝導度(10-1~10<SUP>1</SUP>S/cm)を示し,後者は比較的低い電気伝導度(10-6~10<SUP>-4</SUP>S/cm)を示した。タイプIIの重合体は基本的にアニリン重合体と同じ構造からなっており,タイプIIの重合体はN-Cカップリングに基づくN-フェニルアニリン-N,4-ジイルおよびC-Cカップリングに基づくジフェニルアミン4,4'-ジイルとからなる共重合体であることが元素分析や赤外吸蚊スペクトルからわかった。ESRスペクトルから,AおよびDPPDから得られた重合体中には,それぞれ2.3×10<SUP>20</SUP>個/gおよび1.2×10<SUP>20</SUP>個/gの高いスピン濃度が観測されたのに対して,DPAから得られた重合体中には7.1×10<SUP>19</SUP>個/gのスピンしか観測されなかった。前二者は,後者に比較して,motional narrowingに基づくと推定される4Hの大きな温度依存性が認められた。
著者
出口 竜作 佐々木 博成 岩田 薫 越前 恵
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 (ISSN:13461621)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.53-61, 2009

カイヤドリヒラムシ(Stylochoplana pusilla)は、主にイシダタミガイ(Monodonta labio)の外套腔に生息している。本研究では、フィールドでの調査と研究室内での飼育・実験により、本種の生殖とライフサイクルについての基礎的知見を得ることを目指した。イシダタミガイを定期的に採集し、内部から得られたカイヤドリヒラムシの個体数、個体サイズ、および性成熟の有無について調べたところ、夏期にのみ性成熟した個体が見られること、秋期の初めに小型で未成熟な個体が急激に増加することが分かった。性成熟したカイヤドリヒラムシの受精嚢内には、すでに受精した卵が保持されていた。このような受精卵は減数分裂第一分裂中期で細胞周期を停止していたが、海水中に産卵されると減数分裂を再開し、卵割を経て幼個体に至った。また、人工的に海水中に切り出されることによっても発生を開始し、一部は幼個体にまで発生した。未成熟なカイヤドリヒラムシをアルテミア(ブラインシュリンプ)の幼生を餌に23℃で飼育したところ、性成熟が誘起され、受精嚢内には正常な受精卵が見られるようになった。また、同じ飼育法で幼個体を性成熟させ、再び産卵させることにも成功した。以上のような飼育法の確立により、カイヤドリヒラムシのライフサイクルを制御し、1年間を通して生殖に関する観察・実験を行うことが可能になった。