著者
島添 裕史 綾部 仁士 森口 晃一 香月 一朗 原口 和史 田山 尚久 里村 匡敏
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, pp.423-428, 2005-12-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
18
被引用文献数
5

本調査の目的は,人工股関節全置換術後早期の股関節外転筋筋力の推移を明らかにすることである。対象は,当院整形外科で人工股関節全置換術を行った女性14例とし,術側・非術側外転筋筋力,疼痛,および術側股関節屈曲・外転可動域を術前,術後2日,5日,10日,14日,28日の計6回調査した。術側外転筋筋力の推移は術前が1.71 ± 0.49N/kg,術後2日で1.13 ± 0.45N/kg,5日で1.64 ± 0.60N/kg,10日で1.85 ± 0.55N/kgと術前を上まわることが分かった。14例中9例(64%)は術後5〜10日で術前筋力値まで回復した。以上のことから,THA後の外転筋筋力トレーニングを行う際は,10日以内は術前筋力に達していない点に考慮しなければならない。
著者
山内 康太 島添 裕史 石村 博史 鈴木 裕也 熊谷 謙一 海塚 安郎 東 秀史
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.387-394, 2013-07-01 (Released:2013-08-09)
参考文献数
24
被引用文献数
1

【目的】早期離床は術後管理において重要な構成要素の1つであるが,起立性低血圧(orthostatic hypotension, OH)をきたした場合,理学療法の介入が遅れ早期離床の阻害因子となる。本研究では胃癌に対し待機的胃切除術を施行した症例を対象に,術後1日目離床時におけるOHの発症率および発症因子を調査した。【方法】2004年4月から2011年8月までに胃癌で待機的手術を施行し,周術期理学療法を実施した211例を対象とした。調査項目としては,OH発症の有無および術前,術中,術後の3期においてOHに影響したと想定されるすべての因子を診療録より抽出した。【結果】胃癌術後1日目におけるOHは78例(37.0%)であった。多重ロジスティック回帰分析において,OH発症に有意に影響した因子は虚血性心疾患の既往の有無〔odds ratio(OR)2.317,95%confidence interval(CI)1.118~4.805,P=0.024〕,術後血清アルブミン値(albumin, Alb)(OR 0.362,95%CI 0.180~0.725,P=0.004),術後WBC(OR 1.008,95%CI 1.000~1.017,P=0.043),術後平均動脈圧(mean arterial pressure, MAP)(OR 0.968,95%CI 0.947~0.991,P=0.006)であった。【結論】胃癌術後におけるOHは37.0%と高率であり,虚血性心疾患,術後Alb,術後WBC,術後MAPが関連していることが示唆された。