著者
冨田 一 崔 光石 中田 健司 本山 建雄
出版者
独立行政法人 労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.27-36, 2008 (Released:2013-07-02)
参考文献数
34
被引用文献数
1

既に100/200Vから220/380Vに昇圧された韓国と我が国との電気火災および感電事故を比較して,将来、我が国が低圧の配電電圧として230/400Vが採用された場合に想定される電気安全上の課題について留意点を抽出した.昇圧の進展と電気火災発生件数には相関性が見られ,電気火災の主因である短絡は,その発生過程の究明と防止対策が電気火災防止にとって重要になる.昇圧化後にも老朽設備を使用し続けると,電気火災が発生し易くなるので特に注意が必要である.昇圧の進展と感電死傷者数には相関性が見られない.この要因には,有効な接地方式の選定や漏電遮断器の普及が感電事故の抑制に寄与したことが考えられる.昇圧による電気事故を防止するには,配電方式や対地電圧に応じた適切な接地方式の選定や接地技術の開発,電気設備,漏電遮断器の安全性向上などのハード面の安全対策に加えて,電気安全関連法令の遵守,定期点検の徹底,老朽設備を適切に運用するためにメンテナンス体制の整備などのソフト面での安全管理体制の確立も重要である.
著者
崔 光石・本山 健雄・富田 一 中田 健司
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.39-44, 2007-02-15 (Released:2016-11-30)
参考文献数
18

世界中の低圧配電電圧は,北米や日本などのように約100 V をおもな配電電圧としている国と約200 V を採用しているその他の国の二つに大別される.200 V 配電は,許容電流が同一の電線を使用した場合,100 V 配電に比べ供給電力が高く使用銅量が削減できること,配電時の電力損失が低いことなどのメリットがあり,ヨーロッパ,アジアを中心として多くの国において採用され国際的な配電方式になりつつある.これらのことから,わが国においても低圧配電電圧の200 V 昇圧化が検討されてきたところである.ここでは,日本が将来,200 V 配電方式を採用する場合を想定して,予想される電気安全上の課題を,昇圧が完了している韓国の状況との比較により詳しく紹介する.
著者
冨田 一 崔 光石
出版者
独立行政法人 労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.61-66, 2019-02-28 (Released:2019-02-28)
参考文献数
3
被引用文献数
1

休業4日以上の感電に起因する労働災害を厚生労働省の労働災害(死亡・休業4日以上)データベースを用いて平成18~27年の10年間を分析した結果,定性的な状況は平成10年以前と感電災害の多く発生している業種,発生月,感電災害を誘引した起因物などに変化の無いことを明らかにした. 感電災害の起因物として上位を占めるアーク溶接機について,感電災害防止対策用の安全装置である交流アーク溶接機用自動電撃防止装置と同様の機能を有する安全装置を韓国,オーストラリアと比較した.その結果,始動感度,遅動時間,安全電圧の仕様には大きな差の無いことを明らかにした.
著者
冨田 一 崔 光石 中田 健司 本山 建雄
出版者
National Institute of Occupational Safety and Health
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.27-36, 2008
被引用文献数
1

既に100/200Vから220/380Vに昇圧された韓国と我が国との電気火災および感電事故を比較して,将来、我が国が低圧の配電電圧として230/400Vが採用された場合に想定される電気安全上の課題について留意点を抽出した.昇圧の進展と電気火災発生件数には相関性が見られ,電気火災の主因である短絡は,その発生過程の究明と防止対策が電気火災防止にとって重要になる.昇圧化後にも老朽設備を使用し続けると,電気火災が発生し易くなるので特に注意が必要である.昇圧の進展と感電死傷者数には相関性が見られない.この要因には,有効な接地方式の選定や漏電遮断器の普及が感電事故の抑制に寄与したことが考えられる.昇圧による電気事故を防止するには,配電方式や対地電圧に応じた適切な接地方式の選定や接地技術の開発,電気設備,漏電遮断器の安全性向上などのハード面の安全対策に加えて,電気安全関連法令の遵守,定期点検の徹底,老朽設備を適切に運用するためにメンテナンス体制の整備などのソフト面での安全管理体制の確立も重要である.