著者
今井 志保 川中 洋平 土屋 悦輝 尹 順子
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.57-64, 2012 (Released:2012-03-10)
参考文献数
37
被引用文献数
3 4

東京都内の水道水について,有機フッ素化合物(PFCs)である11種のペルフルオロアルキルカルボン酸類および5種のペルフルオロアルキルスルホン酸類を測定した。40地点のPFCsの総濃度は0.72~95 ng・L-1の範囲で,平均値は19 ng・L-1であった。最多検出地点では12種のPFCsが検出され,PFCs組成比を用いたクラスター分析の結果,都内の水道水は多摩地域と区部の二種類にほぼ大別できた。区部の水道水のPFCs組成比および濃度は類似しているのに対して,多摩地域の水道水の組成比および濃度にはばらつきがみられた。これは区部の水道水が表流水を原水としているのに対して,多摩地域では各浄水所において表流水に地下水を混合して原水としていることによるものと考えられた。諸外国のPFCsの指針値等と測定値を比較した結果,都内の水道水中の個々のPFC濃度は指針値等を下回った。
著者
川中 洋平 鳥貝 真 尹 順子 橋場 常雄 岩島 清
出版者
Japan Society for Environmental Chemistry
雑誌
環境化学 (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.73-78, 2000-03-24 (Released:2010-05-31)
参考文献数
3
被引用文献数
2 2

食品包装用ラップフィルム (7材質, 22試料) からのノニルフェノール (NPs) 及びビスフェノールA (BPA) の溶出試験を行った。蒸留水を溶出溶媒として試験を行った結果, ポリ塩化ビニル製のラップフィルム6試料中5試料からNPsが, さらに, そのうち1試料からBPAが溶出することが確認された。ラップフィルム表面積当たりの溶出量はNPsで98~120ng/cm2, BPAでり30ng/cm2であった。なお, 他の材質のラップフィルムからはNPs, BPAとも溶出は認められなかった。さらに, ポリ塩化ビニル製のラップフィルムを用いて4%酢酸及びn-ヘプタンによる溶出試験を行ったところ, BPAの溶出量に変化は認められなかったが, NPsの溶出量はn-ヘプタンによる試験で, 不検出である1試料を除き480~610ng/cm2となり, 蒸留水や4%酢酸の場合と比較して高くなる結果が得られた。