著者
川口 則幸
出版者
日本測地学会
雑誌
測地学会誌
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.105-115, 1989

1984年から実施している鹿島一筑波間VLBI実験において,観測誤差を越える系統的変動がみられた.この変動が統計的に有為であるかどうかを,誤差解析を行うことで評価した.この結果,観測誤差の見積が正しいこと,系統的変動がこの観測誤差の3倍にも達すること,などが確認された.この変動が,千葉東方沖地震によって発生したものであるかどうか調べるために,この地震の震源パラメータから地表面の変動を計算してみた.計算の結果,変位の方向が逆極性であること,変位の絶対量が観測値の5分の1に過ぎないことなどが明らかになり,単純な断層モデルでは説明がつかないことが分かった.
著者
川口 則幸 広沢 春任 山本 善一 小野 真裕
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播
巻号頁・発行日
vol.97, no.228, pp.23-28, 1997-08-22
被引用文献数
2

宇宙科学研究所は本年2月に工学試験衛星(MUSES-B)を搭載したM-V型ロケット1号機の打ち上げに成功し、超楕円軌道に投入された衛星は「はるか」と命名された。「はるか」のミッションはスペースVLBI観測が主で、直径8mの大型アンテナとVLBI観測に必要な機器を搭載している。ただし、VLBI観測に必須の原子時計は搭載しておらず、周波数標準の基準信号は地上の水素メーザ型原子時計から衛星に供給している。本研究は、この基準信号の衛星への伝送の際に生じる伝搬位相揺らぎの影響を評価し、実際に得られた伝搬路の安定度についての報告を行う。
著者
廣澤 春任 平林 久 小林 秀行 村田 泰宏 紀伊 恒男 Philip Edwards Ed Fomalont 山本 善一 藤沢 健太 岡保 利佳子 輪島 清昭 井上 允 川口 則幸 柴田 克典 亀野 誠二 朝木 義晴 西堀 俊幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.97, no.554, pp.9-16, 1998-02-20
被引用文献数
3

宇宙科学研究所は、科学衛星「はるか」を、1997年2月12日、同研究所のM-V型ロケット初号機により打ち上げた。「はるか」は世界最初の電波天文衛星として、スペースVLBIの実験ならびに観測に取り組んできている。打ち上げ3ヶ月後の5月半ばには、地上電波望遠鏡との間で、初のフリンジ(干渉縞)を検出した。打ち上げ4ヶ月後には、スペースVLBIによる、クエーサーの初のイメージングを行った。ここでは、「はるか」によるスペースVLBI実験について、初のイメージングに至るまでの主な経過と成果を述べる。
著者
笹尾 哲夫 小林 秀行 川口 則幸 真鍋 盛二
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.313-320, 2002-05-05
参考文献数
4

国内4カ所の新しい電波望遠鏡を連動させて従来の百倍の精度で星の位置を測り,地球の公転を利用した三角測量でわが銀河系(天の川)の立体地図を作ろうという計画がスタートした.これにより,銀河系における暗黒重力物質(ダークマター)の質量の把握とか,宇宙距離尺度の直接検定などの新しい成果が期待される.この計画の現状を紹介するとともに,ねらいと意義,高精度実現の仕組み等について解説する.