著者
川口 治子 溝崎 久美子 山口 直彦
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 59回大会(2007年)
巻号頁・発行日
pp.114, 2007 (Released:2008-02-26)

〔目的〕いわし,あじなど赤身魚は高度不飽和脂肪酸であるEPA,DHAなどを含み大変酸化を受け易いと思われる。また,その干物は乾燥工程あるいは流通過程などでは急速な酸化の進行が危惧される。そこで私達は市販干物(あじ,いわし及びししゃも)の酸化度を実態調査すると共に,酸化度が著しく高かったいわしについて試作試験を行ったので報告する。 〔方法〕1,干物は,それぞれ5点,豊橋及び岡崎市内で購入した。2,いわし(鮮魚)は岡崎市中央市場で購入した。3,いわし干物の試作は鮮魚をカテキン,トコフェロール及び味噌などの溶液に一定期間浸漬した後,乾燥した。4,酸化度は酢酸-イソオクタン法で過酸化物質(POV)を測定した。 〔結果〕1,市販干物のPOVをみると,あじでは,天日干しと表示してある1点のみ99と高い値を示したが,他4点の平均値は11.5±6.6であった。次いでいわしは5点共にPOVは50以上と高く,その平均値は111.9±58.7を示した。さらにししゃも5点の平均値は18.4±5.3であった。これらの結果からいわし干物の酸化度が著しく高いことを知った。いわしの干物の試作試験の結果,2,カテキン製剤(茶葉抽出物10%含有)0(対照区),0.1及び0.5%溶液にいわしを浸漬後,乾燥した干物を5℃,5日間保存し,そのPOVで比較すると,対照区:118,0.1%区:119及び0.5%区:69であった。3,トコフェロ-ル製剤(トコフェロール8.5%含有)についても同様に試験し,5日目のPOVで比較した結果,対照区:160,0.1%区:157及び0.5%:100であった。4,豆味噌の効力を測定した結果,7日目のPOVは対照区:217,1%区:76.6,3%区:79.0及び6%区85.6であった。5,さらに,カテキン及びトコフェロール製剤と豆味噌との併用試験などを行っている。