著者
富川 盛光 鈴木 直仁 宇理須 厚雄 粒来 崇博 伊藤 節子 柴田 瑠美子 伊藤 浩明 海老澤 元宏
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.1536-1542, 2006
被引用文献数
3

【目的】エビアレルギーの患者背景をまとめ,エビの主要抗原のトロポミオシンと交差抗原性のある他の甲殻類・軟体類・貝類の摂取時の症状,特異的IgE抗体価の相関を検討した.【方法】各施設に質問紙を配布し,エビ摂取で確実に症状を呈した99症例について検討した.【結果】エビアレルギーは20歳代までの発症者が多く,1時間以内に症状が発現する症例は87.9%であった.皮膚症状が最も多く,以下OAS様症状,呼吸器症状と続き,アナフィラキシーが61例,ショックも2例みられた.エビアレルギーを有しかつカニを摂取したことがある患者68例中44例(64.7%)がカニアレルギーで,イカ摂取では63例中11例(17.5%)とカニに比べ少なかった.特異的IgE抗体価はエビとカニで相関係数は0.954(p<0.001),エビとイカは0.582(p<0.001)と強い相関を認めた.【結論】エビアレルギー患者では,トロポミオシンの相同性が高く交差抗原性を持つカニ摂取でアレルギー反応を認める例が多いが,軟体類や貝類とはカニほど臨床的な相関はないと思われた.
著者
犬尾 千聡 宇理須 厚雄
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

牛乳アレルギー患者に対して、牛乳を摂取して寛解を獲得する免疫療法の有用性が数多く報告されてきた。しかし、牛乳を用いた経口免疫治療中は皮膚症状、消化器症状、呼吸症状が頻繁に誘発される。本研究では、ペプチドミルクを使った免疫療法の安全性と効果を検討した。重症の牛乳アレルギー患者での検討では、血液中の末梢血好塩基球活性化はペプチドミルクが普通ミルクで低く、二重盲検食物負荷試験では、普通ミルクよりペプチドミルクの方が摂取可能量は多かった。ペプチドミルクを用いた経口免疫療法を行い、8割の患者で摂取可能量が増加したことを確認した。