著者
菱沼 典子 平松 則子 春日 美香子 大吉 三千代 香春 知永 操 華子 川島 みどり
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.32-39, 1997-02-28 (Released:2012-10-29)
参考文献数
25
被引用文献数
9 6

腹満や便秘に対し, 経験上有効といわれている熱布による腰背部温罨法の, 腸管の動きに対する影響と, 局所の皮膚に対する影響を明らかにする目的で, 実験研究を行った. 8名の健康な女性 (27~47歳) に, 熱布による温罨法を施行し, 以下のような結果を得た.1) 腸音は施行直後に1.7倍に増加し, 施行前に対し, 有意差が認められた.2) 貼用部の皮膚温は, 41.1-43.1度まで一過性に上昇したが, 火傷は生じなかった.3) 背部の血流および上腕部の血流は, 施行前に比べ1.4倍になり, 全身が暖まった.4) 施行前後で、体温, 脈拍, 血圧に変動は認められなかった.これらの結果から, 熱布による腰背部温罨法は, 腸管の動きを促進し, 便秘や腹満の解消をはかる看護技術となりうることが示唆された.
著者
佐藤 裕子 中木 高夫 濱田 悦子 川島 みどり 木村 義 齋藤 彰 平木 民子 奥原 秀盛
出版者
日本赤十字看護大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究は看護学生の論理的思考を育成する教育方法の1つとして、看護方法学の授業教材として使用できるコンピューター・ソフトウェアの作成を目指した。このソフトウェアの基盤を構築するために未だ明らかにされていない看護者に特有な推論構造を解明する目的で平成10年度に予備調査を実施した。結果、経験の厚い看護者の推論をより密着して詳細に調査することが必要となり、平成11年度には本調査を実施した。結果、手がかりから仮説へと至る看護者の推論プロセスの特徴、対・患者場面で看護者の即座の行為を導く推論の特徴、さらに看護者に追加される情報によって推論が発展していくことが明らかとなった。得られた資料を土台として、平成12年度から平成13年度にかけて、ソフトウェアの主軸となるルールセットを構築していった。このルールセツト作成作業では現象データからどのような推論が生まれてくるかをシミュレーション化したうえで、現象→推論→根拠→否定手段の4要素のルールからなるセットを蓄積していった。これらをシステムに組み込む作業を経たうえで、ユーザーインターフェイスを開発、ソフトウェア化していった。これと平行し本研究で作成するソフトウェアの適用対象となる看護学生の思考発展調査を平成12年度から13年度にかけて行った。結果、看護学の専門的知識を学習する前の時期は自らの生活体験や身近な家族・親戚、ぞして講義などの影響が大きい学生の思考は、基礎実習を経ることによって、さらに看護過程や看護専門知識の学習を経ることによって、現象を見る視点が多様化し語彙量が増え、表現豊かになっていくという思考の発展が明らかとなった。学生の思考発展に応じた適切な時期と活用法を考慮に入れながら論理的思考を育成することを目指す本ソフトウェアの授業教材化と評価が今後の課題である。