著者
藤吉 康志 川島 正行 山崎 孝治 塚本 修 岡本 創 杉本 伸夫 三浦 和彦
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

当該研究期間、2002年と2004年の2回、北極海上に発生する雲と降水システムの総合的な観測を実施した。まず、北極海に出現する大きな気象擾乱には、背の低いタイプと背の高いタイプがあり、前者は北極海起源、後者は北太平洋起源の低気圧であるとを示した。次に、北極層雲の水平構造を調べ、対流性と層状性の構造の2つの水平パターンが存在することを見出した。この結果は、詳細な数値モデルによるシミュレーションの結果と整合的であった。また、雲レーダーを用いた観測で、雲の鉛直構造を明らかにし、雲頂高度がほぼ-45℃に存在すること、2km以下と5km付近の2高度で雲の出現頻度が高いこと、更に、北極海では雲は多層構造を示していることなどを明らかにすることができた。さらに、雲レーダーとライダーと組み合わせるアルゴリズムによって、雲粒の粒径分布も求めることができた。海洋と大気との乱流フラックスも実測し、放射収支と合わせて、北極海での熱収支を見積もることができた。また、客観解析データとレーダーデータを基に、北極域での水収支とその季節変動も見積もることができた。更に、エアロゾル-海洋-大気-雲の相互作用を新たに見出した。これは、海水温の変化と、海起源の雲核の数濃度や大気境界層内の雲の発達とが良く対応していることを観測事実として示したもので、北極海上における下層雲の形成過程が、温暖化に伴う海水温変化に影響を受けることを示した画期的な成果である。以上の成果は、国内外での学会で発表し、他国の研究者から高い評価を受けた。更に、熱帯・中緯度との観測結果との比較も行い、2012年にESA(Europe Space Agency)とJAXAとで共同で打ち上げ予定の雲観測衛星(EarthCARE)の科学的基礎データとしての重要性を強調した。
著者
川島 正治
出版者
国際短期大学
雑誌
紀要 (ISSN:13489933)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.15-22, 2006

一昨年、東京都で震度5という地震が発生し、電車等の交通機関が長時間不通になった。このことから、あらためて自然災害に対する心構えの大切さを深くした。前回の論文では、長年の基礎調査を踏まえて、中野区内にある本学と本学周辺から広域避難場所への避難道路の調査と立体視化の可能性の検討を行った。本報告では、実際に避難道路の立体視化シミュレーションを製作し、実演を行った結果と被災想定に関連した避難道路の立体視化シミュレーション製作の検討を行ったので報告する。
著者
川島 正治
出版者
国際短期大学
雑誌
紀要
巻号頁・発行日
vol.20, pp.29-40, 2005

平成7年1月に阪神、淡路大震災が発生し、あれから十年が経過した。最近、東京都でも震度5という地震が発生し、あらためて自然災害に対する思いを深くした。以前から、私は三次元ルート探索、災害弱者の安全な避難の可能性について検討してきた。特に、中野区全域における地域救援センターと広域避難場所への避難道路に関する指定道路距離、ファジィ避難道路ルートの探索などの研究を実施し、報告してきた。本報告では、中野区の広域避難場所への避難道路の立体視化の可能性を検討したので報告する。