- 著者
-
川村 恒夫
- 出版者
- 神戸大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 1998
平成10年度は,3条刈り自脱コンバインを供試し,選別部の籾,チャフ,及びそれらの混合物の流れを解析するために,超小型CCD-TVカメラと光源を選別部に組み込み,実作業中に画像を収録して流れの状態を解析した。その結果,エンジンが定格回転数(2750r.p.m.)では選別部に籾や藁の滞留は認められなかったが,10%程低下すると選別能力が低下し,2000r.p.m.程度まで低下した場合は,2番還元に籾と藁屑,及びささり粒が滞留するのが認められた。次に唐箕ファンや扱胴の回転による風速と風圧を熱線風速計で測定した。エンジン回転数の範囲が,約1800r.p.m.〜2750r.p.m.の時に,グレインシーブ上の風速は0.8m/s〜3.3m/s,静圧は0.1mmAq〜0.4mmAqであった。平成11年度は,籾やチャフ等の空気選別が行われる1番オーガからチャフシーブにかけての範囲と2番スローワで風速と風向を,熱線部分がセラミックで封止された西独ウェーバ社製のベントキャプターで測定した。その結果,水稲を流さずに測定した選別部の風速分布は,コンバインの胴体の端の方ほど風が強いこと,水平面からの角度が60°〜90°の時に風が強いことが明らかになった。また,選別部の溝体外側に近い場所の風速が中央部よりも1.5m/s程度大きいことも明らかになった。次に,水平面からの角度にして45°〜60°以上になると風速がほぼ一定値になることから,この方向が唐箕ファンから送られる風の流れる方向を示している。2番スローワ内の風速分布は均一ではなく,スローワの方向からすると下向きの-30°〜-15°付近や,スローワの上端を目指す方向の45°〜60°の風速が大きく,中心部付近で低下することが分かった。最後に,実際の刈取りを行いながら選別部内の風速を測定したところ,選別部内を流れる籾の流量による風速の変化は見られなかった。また,2番スローワの上ではエンジン負荷による影響を受けたが,1番オーガとグレインシーブの間の空間での風速はエンジン負荷の影響を殆ど受けていなかった。