著者
川村 恒夫 西村 功
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.85-92, 1988 (Released:2010-04-30)
参考文献数
9
被引用文献数
6

果菜類, 特にスイカの熟度や内部品質を非破壊式で測定する事を目的として打撃式の試験装置を試作し, スイカの振動特性と音響特性を測定した。ここで, 打撃による試料の振動を拘束しないよう, 単振子式の支持方法を用いて実験を行った。第1報では, 打撃式試験装置によりスイカの側面及び底面を打撃した時の振動波形及び打撃音波形の結果と, それから得られる振動・音響特性及び供試スイカの基礎物性値について報告する。第2報では, 食味検査の結果と物性値との関係, 第3報では, スイカの諸物性値と振動及び音響データの解析結果に基づく熟度又は内部品質の判定方法について報告する。
著者
庄司 浩一 谷森 文彦 中山 和明 川村 恒夫 小林 伸哉 堀尾 尚志
出版者
Japanese Society of Farm Work Research
雑誌
農作業研究 (ISSN:03891763)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.73-78, 2003-06-19 (Released:2010-02-09)
参考文献数
11
被引用文献数
3 3

The fluctuation of the surface, or relative depth of water within a paddy field, was related to yield and quality of the rice. A 0.5ha-transplanted paddy field having the fluctuation of elevation of about 100mm was used, and the level of water was monitored at several points of observation in the field. Following conclusions were obtained based upon these measurements for two years.1) There was a slight tendency of greater yields at lower elevations, although it was not statistically significant. The yield components varied among the elevations; at the lower elevations, the number of panicles per hill-plant and the number of grains per panicle were greater, and vice versa the weight of kernel and the percentage of ripened grains.2) The protein content in the kernel was significantly greater at lower elevations, which can be related to the smaller weight of the kernel and percentage of ripened grains mentioned above. The greater protein content could be also ascribed to continuous intake of nitrogen, as a result of continuous submergence of water on the soil.3) There was a case that at poorly drained intermediate elevations in the middle of the field, the protein content was as high as at lower elevations. This implied that the management of the water level or drainage was essential as well as the leveling of the paddy field, so as to produce the rice of as uniform and low protein content as possible within the field.
著者
庄司 浩一 牛尾 昭浩 松本 功 川村 恒夫 荒井 圭介 横野 喬
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

昨今のIT農業における実用的なセンサとして,穀粒の衝撃音をイヤホンで感知し,コンバイン上での収穫質量と水分,穀物乾燥機上で水分の推定を行った。コンバインの穀粒タンク内では別途用意した小型の衝突板に,乾燥機では側壁に市販のセラミックイヤホンを装着した。籾およびコムギの収穫時に出力を積算して実際の収穫質量と対応させると,単純な線形回帰でも標準誤差1 kg程度を得た。時系列の信号を周波数領域の音響スペクトルに演算しなおし,任意の2周波数バンドを選択して水分推定を行うと,標準誤差は籾で0.4%,コムギで0.8%を得た。乾燥機でも同様の手法で籾の水分推定を行ったところ,標準誤差0.1%を得た。
著者
川村 恒夫
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

平成10年度は,3条刈り自脱コンバインを供試し,選別部の籾,チャフ,及びそれらの混合物の流れを解析するために,超小型CCD-TVカメラと光源を選別部に組み込み,実作業中に画像を収録して流れの状態を解析した。その結果,エンジンが定格回転数(2750r.p.m.)では選別部に籾や藁の滞留は認められなかったが,10%程低下すると選別能力が低下し,2000r.p.m.程度まで低下した場合は,2番還元に籾と藁屑,及びささり粒が滞留するのが認められた。次に唐箕ファンや扱胴の回転による風速と風圧を熱線風速計で測定した。エンジン回転数の範囲が,約1800r.p.m.〜2750r.p.m.の時に,グレインシーブ上の風速は0.8m/s〜3.3m/s,静圧は0.1mmAq〜0.4mmAqであった。平成11年度は,籾やチャフ等の空気選別が行われる1番オーガからチャフシーブにかけての範囲と2番スローワで風速と風向を,熱線部分がセラミックで封止された西独ウェーバ社製のベントキャプターで測定した。その結果,水稲を流さずに測定した選別部の風速分布は,コンバインの胴体の端の方ほど風が強いこと,水平面からの角度が60°〜90°の時に風が強いことが明らかになった。また,選別部の溝体外側に近い場所の風速が中央部よりも1.5m/s程度大きいことも明らかになった。次に,水平面からの角度にして45°〜60°以上になると風速がほぼ一定値になることから,この方向が唐箕ファンから送られる風の流れる方向を示している。2番スローワ内の風速分布は均一ではなく,スローワの方向からすると下向きの-30°〜-15°付近や,スローワの上端を目指す方向の45°〜60°の風速が大きく,中心部付近で低下することが分かった。最後に,実際の刈取りを行いながら選別部内の風速を測定したところ,選別部内を流れる籾の流量による風速の変化は見られなかった。また,2番スローワの上ではエンジン負荷による影響を受けたが,1番オーガとグレインシーブの間の空間での風速はエンジン負荷の影響を殆ど受けていなかった。