著者
川田 亮一 松本 修一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.621-631, 2001-03-01
参考文献数
6
被引用文献数
14

近年, ディジタル圧縮による映像素材伝送が盛んになっているが, その課題のなかに次のようなものがある.(1)素材伝送には本線と予備線の2系統からなる2重化系がしばしば使用されるが, 通常時は予備系の伝送容量がむだになること.(2)伝送映像の自動画質監視の方法が確立していないこと.一方で, ディジタル映像伝送用符号化/復号の技術はほぼ確立し, 様々な装置が既に広く使われている.したがって, 既存の装置構成をなるべく変更せずに, 上記のむだの低減, すなわち高能率化や自動画質監視が実現できることへの期待は非常に大きいといえる.そこで本論文では, 自動画質監視可能な高能率高信頼度の映像伝送を, 既存の符号化・復号装置に手を加えずに前/後処理の追加のみで実現可能とする, フラットマルチスケーラブル映像伝送方式を提案する.本方式では, 2系統の復号映像上の符号化雑音の相関がなるべく小さくなるよう処理を加えることにより, 平均化による雑音の相殺・高画質化を実現する.また, その残留相関の大きさなどから, 受信映像と原画とのSN比を推定可能とする.本方式は, 素材映像伝送の高能率化のみならず, インターネット画像伝送などの高信頼度化にも利用可能である.
著者
上野 智史 橋本 真幸 米山 暁夫 川田 亮一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.306, pp.127-132, 2009-11-19
被引用文献数
1

本論文では,ユーザの現在位置・方向情報の精度の改善を目的とした,ユーザ撮影画像と街並画像データベースの画像マッチング手法を提案する.GPSによる位置データを利用してユーザを道案内するナビゲーションサービスが普及しているが,高層ビル街などGPSによる位置精度が悪い場所においても精度の高い位置情報の提供が求められていた.これに対して,対象エリアの街並画像を事前に撮影しておき,ユーザの撮影画像とマッチングすることでユーザ位置・方向を推定する手法が考えられる.しかし,街並画像データベースの撮影間隔が離散的であることと高圧縮の画像であることにより画像マッチングの精度が低い場合があった.そこで本研究では,これらの街並画像データベースでも特徴点の対応関係を精度よく抽出する方式を提案する.本手法は,局所特徴量の対応点の検出時に複数の対応点候補を選択し,その後建物の幾何拘束を考慮して対応点を選択することで,従来の最近傍探索手法より精度よく正解対応領域を検出する.本手法により,従来のSIFTによる最近傍探索に比較して位置精度誤差が7%縮小し,方向推定精度が10%改善する.