著者
川端 猛夫
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

有機合成化学は官能基変換の化学として発展してきた。本研究ではこれまで培ってきた官能基変換の化学を基盤とし、例えば糖類などの多官能基性化合物の位置選択的官能基化を標的とした『分子全体を見据えた分子変換の化学』への展開を目的とし、以下に示す従来困難であった分子変換を達成した。(1)糖類の触媒的位置選択的アシル化を利用する配糖体天然物の全合成、(2)ポリオール天然物の晩期官能基化、(3)電子チューニング型ニトロキシル酸化触媒、(4)σ-対称ジオールの遠隔位不斉非対称化、(5)トポロジカルキラリティーを持つラセミ体ロタキサンの速度論的分割、(6)触媒制御型vinylogous aza-MBH反応。
著者
川端 猛夫 SOKEIRIK Y. S.- SOKEIRIK Y.S.
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

α位に分岐のない脂肪族アルデヒド間のクロスアルドール反応を目的とした触媒開発に取り組んだ。標的反応はアセトアルデヒドと3-アシルアミノプロピオンアルデヒド(RCONHCH_2CH_2CHO)とのクロスアルドール反応で、生成物は高脂血症治療薬リピトールの合成中間体となる。本触媒ではアルデヒドのエナミンへの活性化にプロリン骨格ではなく、ピペリジンを用いた。ピペリジンはプロリンのアミン部分であるピロリジンに比べて、生成するエナミンの反応性が低い。これにより反応性の高いアセトアルデヒドのみをドナーアルデヒドとして活性化できると期待した。一方、3-アシルアミノプロピオンアルデヒドのアクセプターとしての選択的活性化は、触媒分子のピペリジン4位に組み込んだアミノ基による基質のアミドNH基との水素結合形成を介して基質のホルミル基が反応点近傍に配置された触媒側鎖のカルボン酸によりプロトン化を受けることで達成したいと考えた。想定通り、3-アシルアミノプロピオンアルデヒドをアクセプターとし、アセトアルデヒドをドナーとするクロスアルドール反応が進行したが、過反応により脱水が起こり、アルドール縮合体が得られた。現在、脱水を起こさず、アルドール反応の段階に留めて制御する反応系を検討中である。また位置選択的ハロゲン化触媒の開発を目指し、スルフィド及びチオアミドを活性中心とする有機触媒を開発した。これらはオレフィン類のハロアミノ化の良好な触媒となることわかったが、位置選択性の獲得にはまだ至っていない。
著者
川端 猛 西川 建
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.52-56, 2000-01-25 (Released:2000-04-12)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1 1