著者
飯島 正博 祖父江 元 川頭 祐一 小池 春樹
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

末梢神経系の維持には軸索ー髄鞘間の相互作用が重要な役割を担うことが指摘されている。我々はCIDPにおいて、傍ランビエ絞輪部に分布するTAG-1のアミノ酸置換が分子機能を修飾し、再髄鞘化機序にかかわることを過去に指摘した。今回、TAG-1を欠損した動物モデルに髄鞘構成成分より構成される抗原を人為的に導入して自己免疫性神経炎を惹起したところ、脱髄のみならず軸索障害が形態的・電気生理学的に顕在化することを示した。このことからTAG-1をはじめとする分子群は末梢神経の発生はもとより、傷害発生後の髄鞘再生にかかわる重要な要素であり、この破綻は不可逆性の病態をきたしうることが示唆された。
著者
大山 健 小池 春樹 高橋 美江 川頭 祐一 飯島 正博 祖父江 元
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.1047-1049, 2014 (Released:2014-12-18)
参考文献数
10
被引用文献数
3 5

近年,IgGのサブクラスのひとつであるIgG4の上昇をともなう疾患群がIgG4関連疾患(IgG4-RD)として報告され,注目されている.IgG4-RDは,臓器の腫脹・腫大,組織での線維化をともなうIgG4陽性形質細胞浸潤,血清IgG4値の上昇を共通の特徴とし,種々の臓器で報告されてきた.神経領域では下垂体炎や肥厚性硬膜炎が知られていたが,新たにIgG4-RDがニューロパチーでもみられることを明らかにした.IgG4関連ニューロパチーは,下肢遠位優位の運動感覚障害を呈する多発性単神経炎の様式で発症していた.腓腹神経生検では,神経上膜のIgG4陽性形質細胞浸潤および線維化をみとめ,有髄線維密度の低下,軸索変性像の出現がみられた.IgG4-RDもニューロパチーの鑑別疾患の一つとなる可能性が示唆された.