著者
工藤 力 西川 正之
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.99-108, 1983-02-20 (Released:2010-11-26)
参考文献数
36
被引用文献数
45 33

本研究は, Russellら (1980) の開発した改訂版UCLA孤独感尺度の邦訳版を作成し, その信頼性と妥当性を検討することを目的とした。被調査者は, 学生, 一般社会人, 入院治療中のアルコール依存症患者, 合計975名である。孤独感尺度のほかに, 社会的行動, および身体的徴候に関する自己評定尺度, 家族との愛情関係測定用のSDスケール, 自尊心尺度, CPI 10が用いられた。主要な結果は, 以下の通りである。(1) 孤独感はアルコール依存症患者で最も強く, 次いで, 男子の大学新入生, 30代~40代の一般社会人の順であった。しかし, 平均的にみると, 大学生に比べて一般社会人の方が有意に強い孤独感を示していた。(2) 孤独感の性差に関しては, 大学新入生においてのみ見出された。(3) 孤独感尺度の信頼性は, 上位・下位分析, α係数, 折半法, 再検査信頼性係数により吟味されたが, いずれの場合も本尺度の信頼性が充分であることを示している。(4) 孤独感尺度の妥当性は, 孤独感の行動的対件, 社会的関係の認知, 家族との愛情関係, 身体的徴候の現出, 自尊心尺度とCPI 10尺度との対応, 一般社会人とアルコール依存症患者の比較などにより検討されたが, いずれの場合も併存的妥当性が充分であることを示した。(5) 補足的な結果として, 母親との愛情関係 (経験) は, 孤独感の強さを規定するものであることが示唆された。今後は, 本尺度を使用して, 孤独感に陥る原因の解明や, 孤独感の永続化に寄与する要因の分析, 孤独感解消のための対処行動の様態, さらには孤独感の因果帰属が感情反応や対処行動, さらには自尊心に及ぼす影響などを明らかにする必要があるように思われる。
著者
工藤 力男
出版者
中央図書出版社
雑誌
国語国文 (ISSN:09107509)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.35-52, 1997-04
著者
工藤 力男
出版者
成城大学
雑誌
成城文藝 (ISSN:02865718)
巻号頁・発行日
vol.190, pp.43-49, 2005-03-10
著者
工藤 力男
出版者
成城大学文芸学部
雑誌
成城文藝 (ISSN:02865718)
巻号頁・発行日
no.245, pp.1-10, 2018-09
著者
工藤 力 西川 正之
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.99-108, 1983
被引用文献数
7 33

本研究は, Russellら (1980) の開発した改訂版UCLA孤独感尺度の邦訳版を作成し, その信頼性と妥当性を検討することを目的とした。被調査者は, 学生, 一般社会人, 入院治療中のアルコール依存症患者, 合計975名である。孤独感尺度のほかに, 社会的行動, および身体的徴候に関する自己評定尺度, 家族との愛情関係測定用のSDスケール, 自尊心尺度, CPI 10が用いられた。<BR>主要な結果は, 以下の通りである。<BR>(1) 孤独感はアルコール依存症患者で最も強く, 次いで, 男子の大学新入生, 30代~40代の一般社会人の順であった。しかし, 平均的にみると, 大学生に比べて一般社会人の方が有意に強い孤独感を示していた。<BR>(2) 孤独感の性差に関しては, 大学新入生においてのみ見出された。<BR>(3) 孤独感尺度の信頼性は, 上位・下位分析, α係数, 折半法, 再検査信頼性係数により吟味されたが, いずれの場合も本尺度の信頼性が充分であることを示している。<BR>(4) 孤独感尺度の妥当性は, 孤独感の行動的対件, 社会的関係の認知, 家族との愛情関係, 身体的徴候の現出, 自尊心尺度とCPI 10尺度との対応, 一般社会人とアルコール依存症患者の比較などにより検討されたが, いずれの場合も併存的妥当性が充分であることを示した。<BR>(5) 補足的な結果として, 母親との愛情関係 (経験) は, 孤独感の強さを規定するものであることが示唆された。<BR>今後は, 本尺度を使用して, 孤独感に陥る原因の解明や, 孤独感の永続化に寄与する要因の分析, 孤独感解消のための対処行動の様態, さらには孤独感の因果帰属が感情反応や対処行動, さらには自尊心に及ぼす影響などを明らかにする必要があるように思われる。
著者
工藤 力男
出版者
成城大学
雑誌
成城文藝 (ISSN:02865718)
巻号頁・発行日
no.218, pp.27-37, 2012-03
著者
工藤 力男
出版者
日本語学会
雑誌
國語學 (ISSN:04913337)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.91-92, 2002-04-01

国語学会は国語研究の進展と会員相互の連絡を図ることを目的とし,広く全国の国語学研究者および国語に関心を持つ人々を会員として運営されている学会です。これは,左開きの現在は目次の裏に掲げられている「国語学会について」の冒頭である(傍点は引用者による)。本誌第153集の「学界展望」の拙文で,この文言の非現実性について発言することがあった。それに対して,すぐに徳川宗賢氏からはがきが寄せられた。紛失してしまったそれには,本学会のある会合で,この文言と学会名が時代遅れであることを言って冷笑された旨が書かれていた。1997年秋の大会で「学会運営についてのアンケート」が実施された。徳川代表理事による報告が第192集に掲載されている。それによると,学会名称の変更を望む意見は少数派だったが,変更を望む人は「日本語学会」を選ぶ傾向があったという。代表理事というたちばから,徳川氏はご自身の見解を示していないが,今ご存命だったら,さらに改革を進めていたかもしれないと思う。その展望には,己れのことを,「これはおちこぼれの隠れKameianたる(いな,もはやたりしとすべきか)わたし」とも書いた。北陸の大学に学んで国語国文学を専攻し,格助詞の歴史に関する論文を書いて卒業したわたしは,いわゆる旧派「国語学」の学生であった。言語学関係で履修した科目は,4科目10単位に過ぎない。二十代の終りに大学院に学び,亀井孝氏の著述に触れて,己れの勉強の挟く偏っていることを知ったが,悲しいことに,貧弱な頭脳は早くも硬化して,言語学を吸収することができなかった。せめて氏の精神だけでも学ぼうという思いがその文言になったのである。学問の姿勢が亀井氏に近いたちばにある小松英雄氏は,新著『日本語の歴史』に書く,「このような妄論が現今の概説書に出てくるのは,国語学が国文学と密着して近世国学の伝統を継承し,鎖国状態を続けたまま,言語学の進歩についてこなかったことの悲惨な結末である」(23頁)と。「悲惨な結末」はわたしの姿そのものである。小松氏はまた,「近年は,旧来の国語史の内容をそのままにして,名称だけを日本語史と改める風潮が顕著に認められる」(19頁)とも言う。もとより覚悟のうえで,新酒のために新しい革袋を用意するつもりでこの名称を用いてきたわたしは,この批判を甘受するものである。崩れた姿勢が正装することで直ることもある。以上,個人史的な回想である。客観的な状況は,先の徳川氏稿,第193集の山口佳紀氏稿,第200集の特集に寄せられた諸氏の稿,そして,205号来の本欄の稿などで具体的になった。現在の学会の態勢が学問にも教育にも時代遅れであることは明らかである。外国人との接触多からずとも,「国語学」の名称がいかに不自然であるかは理解しうるはず。同じ日本語が対象なのに,外国人の研究は「日本語学」,日本人のそれは「国語学」だという奇妙なことを,もうやめようではないか。漢字文化圏では,韓国も自らの言語の学を「国語学」と称するが,他国のことは言わず自分の身辺を清潔にしたい。「日本語」という名称に大日本帝国の匂いを嗅ぎとる人もある。わたし自身,「君が代」が歌えない人間なので気持ちはわかるが,反対に「国語」の方に帝国の匂いを感ずる。人さまざまである。それなら,中国・韓国で用いる「日語」「日語学」でもいい。世界を席捲する「英語」が英国にとらわれないように,いっそ好ましいかもしれない。そもそも,この学会の英訳名には「国語」の含意がない。名詮自性,これが自分のかかわる研究領域での願いである。かく思うゆえに,特に術語は正確・厳密に用いるべきことを,いくつかの文章に書いてきた。言語の研究にたずさわる者として当然のことであろう。「日本語」を研究対象とする学会なら,「日本語学会」が最適である。「日語」を採れば,当然「日語学」「日語学会」。文部行政の申し子たる旧派国語学会から,時代錯誤の言語教育行政に変更を迫る力を備えた学会に再生せねばならない。明春の大会には学会名の変更を決定すべきである。本学会の幹部には,学会の分裂を招きはしないかと,学会名の変更をためらう節があるようだが,ためらう時間が長ければ長いほど,国語学と日本語学の乖離は大きくなるだろう。現に昨冬,日本語文法学会が発足したのは,そのためらいに業を煮やしたからではなかろうか。日本語史に無智なままになされる現代語研究は危ういし,現代語の構造を見透さない日本語史研究は寂しい。双方にまたがる,あるいは諸領域にわたるさまざまな研究がある。それらの要になることこそ,本学会の存在意義であろう。わたしは至らぬまでも,蛸壷から首だけでも出して四方に目配りしつつ余生を過ごしたい。学会誌の名称は,現在用いられていないものに探すなら,『日本語学会雑誌』あるいは『日語学会雑誌』がいい。これなら決して古くなることがないだろうから。
著者
長沢 太郎 両木 岱造 工藤 力
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.387-390, 1966-01-30 (Released:2010-02-22)
参考文献数
47

牛乳および人乳からRöse-Gottlieb変法によりリン脂質を抽出し, TLCにより各成分を分離した。各々の成分を試薬に対する発色, Rf値および赤外線吸収スペクトルから同定し, 比色法により定量した。リン脂質中の各成分の組成は人乳ではLPC: 2.52, Sph: 25.08, PC: 46.96およびCep: 25.44, 牛乳ではLPC: 5.51Sph: 17.94, PC: 27.77およびCep: 48.77 (いずれもモル%) であった。

1 0 0 0 IR 語源俗解考

著者
工藤 力男
出版者
成城大学
雑誌
成城国文学論集 (ISSN:02869063)
巻号頁・発行日
no.25, pp.187-212, 1997-03
著者
前野 正久 両木 岱造 工藤 力
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.401-406, 1964-01-30 (Released:2010-11-29)
参考文献数
15
被引用文献数
1

ニュージーランド, オーストラリア, スェーデン, アメリカで生産された15試料のバターオイルの乳脂肪について主な化学試験を行ない, 脂肪酸組成をガスクロマトグラブィーにより分析し, 日本のバターから得た乳脂肪と比較した。酸価, 不ケン化物の量は国別, 季節別の差はない。融点は国別の差はなく季節的に冬季の試料が夏季の試料より1.0~1.5℃高い値を示した。ケン化価, 沃素価は国別の差よりも同じ国の季節による差の方が大きく, 冬季にはケン化価が高い値を示し, 沃素価は減少する。夏季にはこの逆の傾向を示した。脂肪酸組成は日本, アメリカの夏季試料ではステアリン酸, オレイン酸, リノール酸, リノレン酸が多く, 低級脂肪酸は減少する。冬季にはミリスチン酸, パルミチン酸, 低級脂肪酸が増加し, ステアリン酸, オレイン酸, リノール酸, リノレン酸が減少する。日本の試料は酪酸含量は外国の試料と大きな差はないが酪酸からラウリン酸までの脂肪酸量は外国のものより低く, リノール酸, リノレン酸は外国の試料とほぼ同じ量を含んでいる。オーストラリアの試料はアメリカ, 日本の試料と同じ傾向にあった。ニュージーランドの試料は夏季でもオレイン酸が少なく, 低級脂肪酸が多く他の国の夏季試料と組成が異なっている。スエーデンの試料はアメリカ, 日本の冬季の試料よりパルミチン酸含量が多く, ステアリン酸, オレイン酸が少なく, 低級脂肪酸およびミリストオレイン酸, パルミトオレイン酸の量が多い。
著者
工藤 力男
雑誌
成城國文學論集
巻号頁・発行日
vol.25, pp.187-212, 1997-03
著者
工藤 力男
出版者
成城大学
雑誌
成城国文学 (ISSN:09110941)
巻号頁・発行日
no.21, pp.86-104, 2005-03
著者
工藤 力男
雑誌
成城国文学
巻号頁・発行日
no.21, pp.86-104, 2005-03
著者
工藤 力男
出版者
成城大学
雑誌
成城文藝 (ISSN:02865718)
巻号頁・発行日
vol.192, pp.14-36, 2005-09-15

コンピューター操作の場で使われたちまち広がった「立ちあげる」に違和感を抱く人が少なくない。違和感はこの動詞の<自動詞+他動詞>構造に由来するらしいことは早く指摘されたがその原理は説明されずにきた。筆者は近年の研究に学んで複合動詞全体を検討し<他動詞+自動詞>構造の複合動詞は多いが<自動詞+他動詞>構造の複合動詞は特殊な一部に限られることを明らかにした。<他+自>構造の動詞の多くは<自+他>構造の動詞からの派生で受動態による長い語形を避けて自動詞になったのである。後項が自動詞なら主格だけをとる一価動詞で充分だが他動詞は二価動詞なので「立ちあげる」は前後項間で意味がねじれて非文になるのである。
著者
工藤 力男
出版者
日本語学会
雑誌
國語學 (ISSN:04913337)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.56-58, 2001-03-31
著者
工藤 力男
出版者
成城大学
雑誌
成城文藝 (ISSN:02865718)
巻号頁・発行日
vol.194, pp.25-33, 2006-03-25